1997 Fiscal Year Annual Research Report
膵分泌型炭酸脱水酵素の遺伝子クローニングと膵管内自己防御機構における意義
Project/Area Number |
09770363
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
西森 功 高知医科大学, 医学部, 助手 (30237747)
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Keywords | 膵臓 / 慢性膵炎 / 炭酸脱水酵素 / mRNA / 遺伝子クローニング / cDNA |
Research Abstract |
膵臓における細胞質外炭酸脱水酵素(CA)アイソザイムの発現検討と遺伝子クローニングを行い以下の結果を得た。 1,膵臓におけるCA4およびCA6遺伝子発現の検討:細胞質外CAとして既に報告されているCA4(膜結合型)およびCA6(分泌型)mRNAの膵臓における発現を検討した。その結果、Northern blot法ではCA4のmRNA発現が認められたが、CA6のmRNA発現は認められなかった。一方、RT-PCR法およびRT-PCR-Southern blot法ではCA4およびCA6mRNAの発現が確認された。 2,膵臓における新しいCAアイソザイム遺伝子の検索:CAアイソザイムに共通するアミノ酸配列をもとに作製したmix primerにより,膵臓における新しいCAアイソザイム遺伝子を検索した結果,既報のCAアイソザイムのcDNA配列と相同性を示す新しい遺伝子が発見された(CA11)。CA11遺伝子はアミノ酸レベルでも既報のCAアイソザイムと高い相同性を示した。N末端には疎水性に富むアミノ酸配列が認められ,CA4、CA5、およびCA6のアミノ酸配列との比較よりsignal sequenceと考えられた。Northern blot法では膵臓におけるCA11のmRNA発現は明らかではなかったが,RT-PCR-Southern blot法により培養膵管癌細胞株におけるCA11遺伝子の発現が確認された。 ヒト膵管内におけるCA4およびCA6の存在が示唆され,さらには新しいCAアイソザイムであるCA11も膵管内に存在する可能性が示されたことより,これら膵管内CAと細胞質内CA2の協調作用による膵管内pHの維持機構が想定された。これらCAアイソザイムの膵臓における発現を免疫組織学的に検討するため、現在遺伝子組み替え蛋白を作製中であり、各アイソザイムに対する特異抗体の作製を予定している。
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