1997 Fiscal Year Annual Research Report
分子進化学的手法によるHepatitis C virus感染経路の研究
Project/Area Number |
09770366
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
原 俊哉 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (70274602)
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Keywords | 分子進化学 / Hepatitis C virus / 感染経路 |
Research Abstract |
佐賀県は、厚生省の統計において肝癌による住民の死亡率が最も高い地域である。肝癌の原因の90%以上がHepatitis C virus(HCV)の感染による。佐賀県内において特定の地域に50才以上の住民のHCV感染率が高いHCV高感染地域が存在し、過去における流行感染が推定される。この地域におけるHCV流行時期を同定すべく、HCV遺伝子配列の変異速度を基にした分子進化学的手法による検討をおこなった。対象としては、県内におけるHCV高感染地域より当科を受診した15例のHCV感染者について血中HCVRNAを抽出しHCV envelope領域の376base pairをPCR法にて増幅し遺伝子配列を決定した。3例は、約7〜8年間隔をおいた血清をpairにして遺伝子配列を決定し塩基置換速度の指標にした。決定した遺伝子配列を基にODENを用い6-parameter法にてmatrixを計算し塩基置換速度を求めた。系統解析により対象例はすべてHCV genotype1bであり、塩基置換速度は、平均3.77×10^<-3>/site/yearであった。系統樹上の分岐点までの距離についてHCV塩基置換速度を基に計算したところ対象例のHCVが、HCV高感染地域に分岐したのは、約40年前となり早くとも1948年すなわち戦後この地域にHCVが蔓延したものと考えられた。今後は個々の症例、ないしは夫婦のHCV感染例、母子間のHCV感染例についても検討する予定である。
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