1997 Fiscal Year Annual Research Report
大腸慢性炎症部における大腸上皮を抗原提示細胞とする粘膜内T細胞活性化機構の追求
Project/Area Number |
09770381
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中澤 敦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90255456)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / Costimulatory signal / 大腸上皮 / CD4陽性細胞 |
Research Abstract |
Costimulatory signalを欠く正常腸管粘膜内のT細胞はクローン麻酔(clonal anergy)の状態にあたるため腸管腔における外来および自己抗原に対して不活性状態にあるが、逆に炎症粘膜ではcostimulatory signalを発現する活性化T細胞が多数出現していると推測される。我々は、潰瘍性大腸炎(UC)患者生検検体を行い、大腸上皮細胞におけるCD86の発現を証明し、病態形成における関与を明らかにしてきた。 今回、潰瘍性大腸炎の炎症性大腸上皮においてMHCclassII発現に加えてCD86発現が認められたことにより、大腸上皮がAPCとして機能していることが推定された。次に、大腸上皮由来のcell lineを用いて検討したが、HT29-18-N2においてCD86分子の発現が認められた。さらにCD86発現の機能的解析のために大腸上皮細胞株によるallogeneicCD4陽性細胞の増殖実験を施行し、CD4陽性細胞は有意にcell proliferationの上昇を認めた。さらにCD4陽性細胞とHT29-18-N2のcoculture開始時に各種のブロッキング抗体を加え検討したが、抗CD86抗体の投与でcell proliferationは著明に抑制され、この増殖反応がcostimulatory moleculeCD86を介した反応であることが確認された。 今回の結果より、潰瘍性大腸炎炎症部の大腸上皮にCD86が発現し、costimulatory moleculeとして粘膜内T細胞の活性化および炎症の慢性化に働くことが示唆された。潰瘍性大腸炎の病因は未だ不明の点が多いが、今回、新たに病態形成、慢性化の一つとしてcostimulatory molecule CD86の関与が明らかになり、本症の病因解明の一助になると考えられる。今後さらに大腸炎モデルにおいてCD86のanalogueであるCTLA-4Ig投与による腸炎発症の抑制効果の検討を行い、潰瘍性大腸炎に対する新しい免疫統御療法の開発へつなげたいと考えている。
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Research Products
(1 results)