1997 Fiscal Year Annual Research Report
特発性細菌性腹膜炎におけるケモカインの役割とその制御の試み
Project/Area Number |
09770396
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
宮崎 浩彰 関西医科大学, 医学部, 助手 (30268370)
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Keywords | 特発性細菌性腹膜炎 / ケモカイン / アンチセンスオリゴヌクレオチド |
Research Abstract |
1.ウィスター系ラットに四塩化炭素を経口投与することで急性肝炎を惹起させ、腹水中の好中球数や細菌学的検索により特発性細菌性腹膜炎(SBP)発症ラットを選別した。原因菌はグラム陰性悍菌が多数を占めたが、真菌感染も認められた。 2.既知のラット各種ケモカイン(IL-8,TANTES,MIP-1,MCP)のcDNA塩基配列を検討し、それぞれに特異的と考えられるcDNA断片を設計し、これらをプローブとした。なおこれらのプローブの特異性は、PCR法で得た各ケモカインの完全長cDNAをスロットブロットし、標識したプローブでハイブリダイズすることで証明した。 3.SBP発症ラットの末梢血好中球・肝・脾からmRNAを抽出し、ノザンブロット法により各種ケモカインmRNAを検出し、internal standardを用いて定量化することで経時的な変化を検討した。何れのケモカインも肝・脾では発症後ただちにmRNAが増加しており、数日間にわたり高値を示す傾向があったが、発現量や増加率はおのおの異なっていた。同時に組織切片を用いてin situ hybridization法を行い、各種ケモカインmRNA発現の局在を確認したところ、IL-8mRNAは主に肝細胞とリンパ球に発現していた。 以上の実験結果よりSBPにいくつかのケモカインが何らかの形で関与していることが明らかになった。しかし、発現量や増加率はおのおの異なっていることから、各種ケモカインの役割は異なっている可能性が示唆された。今後はアンチセンスオリゴヌクレオチドをラット腹腔内に投与するなどしてケモカインの制御によるSBPによる肝障害とケモカインの関与を明らかにしたい。
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