1997 Fiscal Year Annual Research Report
腸リンパ組織由来のリンパ球動態機構および抗原刺激の影響
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09770402
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Research Institution | Kitasato Institute |
Principal Investigator |
芹澤 宏 社団法人北里研究所, 北里研究所病院, 内科研究員 (60187870)
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Keywords | リンパ球 / migration / バイエル板 / 腸管リンパ管 / 接着分子 / GALT(gut-associated lymphoid tissue) |
Research Abstract |
リンパ球migrationの臓器特異性については徐々に明らかにされてきたが、GALT(gut-associated lymphoid tissue)を構成する腸管リンパ官およびバイエル板という異なった組織由来のリンパ球(Tcell)のmigration patternについての相違につき検討を行った。 【方法】Wistar系雄性ラットを実験に用い、腸管リンパ管、バイエル板よりリンパ球を採取した。洗浄後ナイロンカラムを通してT cellを分離し、FITC(fluorescein is othiocyanate)をインキュベーションにより標識し、標識リンパ球を頚静脈より注入した。経時的にバイエル板、腸間膜リンパ節、脾臓を採取し、PLP固定凍結組織切片を作製、抗FITC抗体を用いた免疫組織化学により標識リンパ球の組織内局在を検討した。すなわちリンパ球に対するマウスモノクローナル抗体( W3/13(CD3)、W3/25(CD4)、OX8(CD8) )およびrabbit anti-FITCを1次抗体とし、PE-goatanti-mouse IgG、FITC-goat anti-rabbit IgGを2次抗体とした蛍光抗体法による二重染色を施しsubsetでの相違を含めた検討を行った。さらに、両組織由来のT cellの接着分子(LFA1α、α4-integrin、L-selectin)の発現をflowcytomeryにて解析しfluorescence intensityにて比較した。 【成績】両群とも各組織での局在パターンは同様の傾向が認められた。リンパ球注入2、12時間後の標識リンパ球の組織内在局在の単位面積あたりの数は脾臓において相違はみられなかったが、バイエル板由来リンパ球は腸間膜リンパ節傍皮質域へ、腸管リンパ由来リンパ球はバイエル板傍濾胞域により有意に多く観察された。各組織にmigrationしたリンパ球のCD4/CD8比は両群での相違はみられなかった。 接着分子の発現は、LFA1αについては有意差はみられなかったが、α4-integrin、L-selectinは腸管リンパ由来リンパ球における発現が有意に強く認められ、nigration patterの相違とこれら接着分子の関連が推測された。
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