1997 Fiscal Year Annual Research Report
転写調節因子E2F-5の正常肺と疾患肺における役割に関する研究
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09770405
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 昭英 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (30291230)
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Keywords | 平滑筋 / E2F / 気管支喘息 / 細胞培養 |
Research Abstract |
第一に、ラット組織及び初代培養細胞に用いてノーザンブロットを行った。E2F-5の発現は、以前報告したように肺動脈平滑筋細胞で高レベルであることが観察されたが、新たに、気管由来平滑筋細胞および気管組織でも比肩しうるレべルの発現を観察した。そこで、気管由来平滑筋細胞を用いて、増殖の状態とE2F-5の発現の関係を見たところ、やはり肺動脈平滑筋細胞とほぼ同様で、血清添加による増殖の過程において明らかなE2F-5の誘導は認められなかった。ただし、肺動脈平滑筋細胞と異なり、フローサイトメトリーによる細胞DNAの検討では、血清添加によって細胞分裂を開始する細胞の割合は50%以下に止まっていた。このことは性格を異にした細胞集団が存在していることを示唆するものと思われた。また、血清除去により気管由来平滑筋細胞は上皮細胞に類似した敷石様形態をとるが、血清再添加により約15時間で元の類紡錘形に復帰することも観察された。この表現型変化がどのような生物学的意義を有するかまだ不明だが、E2F-5の発現はこの過程で特に変化していないことから、これとの関係は薄いかもしれない。引き続きE2F-5とポケット蛋白の結合状況や、下流の遺伝子の変化を調べていく予定である。 一方、平滑筋細胞におけるE2F-5発現の意義をより直接的に検討するため、変異E2F-5分子を発現する発現ベクターを入手し、E2F-5の機能を抑制することによって表現型の変化を観察する予定である。 疾患モデル動物についての検討は、まず喘息モデルラットから気管及び肺を採取しており、今後RNAを調製してE2F-5の発現を観察する。
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