1998 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肺性心を伴った慢性呼吸不全例に対する低濃度一酸化窒素吸入による右心機能の検討
Project/Area Number |
09770424
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
三藤 久 北里大学, 医学部, 助手 (40260856)
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Keywords | 低濃度一酸化窒素吸入 / 慢性肺性心 / 慢性呼吸不全 / 右心機能 |
Research Abstract |
今年度は、膠原病疾患を持った慢性肺性心を伴った慢性呼吸不全例6例に対して、マスフローコントローラーを用いて5ppmから40ppmの低濃度一酸化窒素(NO)を、フェイスマスクを介して吸入させた。そして、吸入の前後で血圧、心電図、SpO_2、動脈血液ガス、血中メトヘモグロビン(Met-Hb)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)等のモニタリングを行った。肺線維症を呈している症例が多く、心臓超音波エコー法では右心機能を正確に評価できる症例が少なっかったため、予定を変更し、右心カテーテルを留置して右心機能を評価した。NO吸入の前後で平均肺動脈圧は、38.8±6.2mmH_2O(mean±S.D.)から31.8±9.6mmH_2O0と有意な変化を示した(p<0.05)が、体血圧、脈拍、心拍出量、PaO_2、hANP、Met-Hbに関しては有意な変化は認められなかった。このことから、膠原病疾患を持った慢性肺性心を伴った慢性呼吸不全例に対しても、低濃度NOの吸入は、平均肺動脈圧の改善に有効である可能性が示唆された。 一方、在宅一酸化窒素吸入を念頭にした、鼻カヌラより酸素と低濃度一酸化窒素を混合し吸入させるシステムに関しては、(株)小池メディカル、住友金属鉱山(株)の協力により、2台の呼吸同調器を使用した基本的なシステムが構築された。しかし、ガスの供給に支障が生じたときの対策がまだ不完全なため、故障時に高濃度のNOを吸入してしまう可能性が考えられ、システムの改良を行っている。
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