1997 Fiscal Year Annual Research Report
肺の線維化と気腫化における誘導型NO合成酵素遺伝子発現の意義とNOの役割
Project/Area Number |
09770429
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
郡 和宏 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60287315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 厚志 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60101820)
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Keywords | 一酸化窒素合成酵素 / 肺線維症 / 肺気腫症 / ブレオマイシン |
Research Abstract |
本年度は、研究目的の、1肺の急性傷害と修復過程での誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)遺伝子の関与を明確にする、2iNOSの制御が気腫化と線維化の規定因子となりうるかを検討する.に対応して、ブレオマイシン(BLM)による肺傷害、肺線維化モデル動物の作成と検討、肺砲マクロファージ(MΦ)におけるiNOS遺伝子発現の制御についての検討を行った。 1,マウスにBLMを腹腔内少量長期間歇投与することにより、ヒト肺線維症に類似した胸膜直下を中心とする肺の線維化が生じた。この線維化は niacin(NA)や、nicotinamide(ND)により抑制された。Reverse transcriptase-polymerase chain reaction (RT-PCR)法でiNOS遺伝子がBLMにより軽度誘導されることが観察された。しかしNA投与群,ND投与群でも急性期の炎症は抑制されておらず、線維化は肺傷害の修復過程で決定されていると考えられ、iNOSの誘導自体が炎症を惹起することにより線維化を規定する可能性は低いと思われた。代表的な線維化関連サイトカインtransforming growth factorβ.platelet-derived growth factor の遺伝子発現についてRT-PCR法で検討したところ、対照群、線維化群、線維化抑制群の間で明らかな差を認めなかった。 2,肺胞MΦは肺疾患における主要なNO産生細胞であることから、気管支肺胞洗浄にて回収したラット肺胞MΦを用いてiNOS遺伝子発現の制御についてNorthern blot法を用いて検討した。lipopolysaccharideとinterferon-γで誘導されるiNOS遺伝子発現が.erythromycin、clarythromycin.dexamethasone.aspirinにより明らかに抑制されたが、cefaclor、amoxicillinでは抑制されなかった。14員環マクロライド剤や抗炎症薬がiNOSを抑制することにより、線維化.気腫化に結びつく肺の傷害を防ぐ可能性がある.
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