1997 Fiscal Year Annual Research Report
肺胞マクロファージになる酵母様真菌の認識・処理機構の解明
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09770430
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
櫻井 照明 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (30266902)
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Keywords | マクロファージ / β-グルカン / 真菌 / 窒素酸化物 / インターフェロンγ / インターロイキン1α / β-グルカンレセプター / インターロイキン6 |
Research Abstract |
マクロファージによる酵母様真菌の認識,処理機構について,真菌の細胞壁構成成分である可溶性多糖,βグルカンに対するマクロファージの反応性(活性化)を観察することで解析した.βグルカンは子嚢菌Sclerotinia sclerotiorumの培養外液より得たSSGを用い,マクロファージの活性化は窒素酸化物の産生を指標とした.マウス肺胞マクロファージを用いた実験より,βグルカン単独の刺激では細胞からの窒素酸化物産生は全く誘導されないが,interferon(IFN)γが共存すると爆発的な産生が誘導されることが明らかとなった.腹腔マクロファージを用いた実験においても同様の結果が示された.そこで腹腔マクロファージを用い,βグルカンとIFNγが共存する系に,他のサイトカインを添加し窒素酸化物産生に対する効果を観察したところ,正の効果を示したものはinterleukin(IL)-1α,IL-6,IL-12であり,負の効果を示したものはIL-4とIL-13であった.マクロファージ培養上清中のサイトカイン量を測定した結果,βグルカン単独刺激でIL-1α,IL-6の産性が認められたが,IFNγ単独刺激では認められず,両者が共存しても相乗的な効果は観察されなかった.また抗IL-1α或いはIL-6中和抗体の添加はβグルカンとIFNγの同時刺激による窒素酸化物産生を有意に抑制したが,IL-1αまたはIL-6とβグルカンを同時に作用させても窒素酸化物の産生は全く誘導されなかった.更にIFNγは単独でマクロファージ細胞表面への蛍光ラベル化粒子状βグルカンの結合量を増加させたが,そこにIL-1α或いはIL-6を添加しても結合量に変化はなかった.以上より,マクロファージは未刺激状態でもβグルカンと反応してサイトカインを産生するが,それだけでは窒素酸化物を産生するには至らず,窒素酸化物を産生するにはIFNγが必要で,IL-1αやIL-6はautocrine的に窒素酸化物の産生を助長していることが推定された.
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