1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09770436
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 匡子 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (20271934)
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Keywords | 作業記憶 / 脳磁図 / 電流双極子 / 高次機能 |
Research Abstract |
作業記憶は短時間情報の保持をしながら同時にそれに処理を加える認知過程で,注意機能,痴呆との関連で注目されている.本研究は,従来ブラックボックスとして理論の組み立てられてきた作業記憶を,実際の脳機能と結びつけるものである.すなわち脳磁図を用いて作業記憶課題により生じる誘発磁界を測定し,脳活動の空間的パターンが時間を追ってどのように変化するかを明らかにすることを目的とした.本年度は作業記憶の2種類の下位システムのうち視空間性回路の大脳内での機構について研究した. 【対象と方法】健常成人13名(男11名,女2名,平均年齢28.9歳)を対象とした.64チャンネルヘルメット型MEG (CTF社製)を用いて視空間性課題を遂行中の磁界を測定した.スクリーン上の無意味図形を刺激とし,それにより得られる誘発磁界を記録した.時間系列上のピーク潜時において,電流双極子モデルを用いて信号源推定を行った.またMRI (Signa Advantage, GE Medical System, 1.5T)を用いて,連続スライス厚1.5mmのT1強調MRI画像を同一対象について撮影し,立体画像を再構成した.コンピュータ上でMRI立体画像と信号源とを重ね合わせ,時間の流れに沿って信号源の解剖学的位置がどのように変化していくかを検討した. 【結果】300msec前後で頭頂向きの電流双極子が両側に出現し、350-400msec前後で両側側頭葉に下方への電流双極子が推定された。 【次年度の計画】本年度得られた図形刺激による誘発反応を基礎として,より複雑な作業記憶課題遂行中の時空間パターンを明らかにする.また前年度の音韻性ループに関わる誘発反応の結果と合わせて作業記憶の脳内機構を検討する.
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Research Products
(1 results)