1998 Fiscal Year Annual Research Report
バキュロウイルスを用いた組換えMJD蛋白発現系と構造解析
Project/Area Number |
09770438
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 浩一郎 東京大学, 医学部・附属病院, 教務職員 (40282644)
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Keywords | Machado-Joseph病(MJD) / ポリグルタミン / 神経細胞死 / バキュロウィルス / 陰イオン交換クロマトグラフィー / 金属アフィニティークロマトグラフィー / 疎水性クロマトグラフィー |
Research Abstract |
【目的】Machado-Joseph病(以下MJD)は、現在まで8つ知られているポリグルタミン病のひとつである。それらの疾患の神経細胞死の分子メカニズムはまだ解明されていない。我々は、バキュロウイルス発現系を用いて、正常型および伸長したポリグルタミンを持つ異常型MJD蛋白を大量に作成し、この両者の生化学的性質および三次構造を比較検討することを目的として精製を試みた。 【方法】我々はMJD蛋白のN末にHis-Tagをつけた組換え蛋白を作成した。大規模精製の前に条件を検討するため小規模精製を行った。組換え蛋白を発現している昆虫細胞をAIEX bufferに縣濁の後、超音波破砕した。これを超遠心した上清をサンプルとし、陰イオン交換カラム(Resource 15Q PE4.6/100)にapplyした。5mM〜1 M NaCl濃度勾配にて溶出したfractionを抗His-Tag抗体を用いたWBにて確認した。次に、その陽性fractionをNi-Resinに吸着させバッチ法を用いて溶出した。その陽性fractionを疎水性カラム(Resource ISOを用いて溶出した。【結果および考察】精製の過程で、正常型と異常型組換えMJD蛋白に、陰イオン交換体、および疎水性リガンドとの結合強度に有意な差は見いだせなかった。異常型のポリグルタミン鎖とその近傍の配列をもつ融合蛋白は、正常型に比較して凝集傾向が著明であるとされているが、我々の実験でも長期の4℃保存状態では、より異常型の組換えNUD蛋白溶液の方が白濁する傾向がみられ凝集しやすいものと考えられた。また溶液の蛋白濃度が高い方がより白濁しやすい傾向が見られた。このことは、Perutzらが提唱したポリグルタミンドメインは互いに水素結合を介して、非共有結合的に自己凝集して逆平行βシートを形成するという説を支持すると思われた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 羽関 典子・中村 浩一郎: "ポリグルタミン異常伸長と核内封入体-CAGリピート研究の新展開-" 脳の科学. 20. 913-916 (1998)
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[Publications] 中村 浩一郎・金澤 一郎: "ポリグルタミン病の神経細胞死とその分子メカニズム" 医学のあゆみ 神経細胞死制御. 別冊. 7-11 (1998)
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[Publications] Koichiro Nakamura,et al.: "Rapid aggregate formation of the huntingtin N-terminal fragment carrying an expanded polyglutamine tract." Biochem.Biophys.Res.Com.(in press).