1997 Fiscal Year Annual Research Report
末梢神経における新しいラミニン結合蛋白・LBP30の機能・病態解析
Project/Area Number |
09770460
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
斉藤 史明 帝京大学, 医学部, 助手 (40286993)
|
Keywords | 末梢神経 / ラミニン / ヘパリン / 細胞接着因子 / 細胞外マトリックス / LBP30 |
Research Abstract |
我々は末梢神経においてこれまで報告されたことのない新しいラミニン結合蛋白,Laminin binding protein with a molecular mass of 30kD(LBP30)が発現していることを見い出していたが,今回の研究により以下に示す新たな知見を得た. 1,LBP30は0.5M NaClでは可溶化されるが,2% Triton X-100では可溶化されないことから膜内在性蛋白とは考え難い. 2,LBP30は末梢神経中に存在するラミニンのサブユニット,α1,α2,β1,β2,およびγ1鎖のいずれとも結合する. 3,LBP30は0.5M NaCl存在下でヘパリンカラムに吸着され0.8M NaClにて溶出される.すなわちヘパリンに対して高い親和性を有する. 4,LBP30とラミニンとの結合はヘパリンあるいはヘパランサルフェートにて阻害される. 5,LBP30はPNA,VVA-B4,Lotus,UEA-I,MAA等のレクチンと反応する.したがってLBP30はO-結合型糖鎖を有する糖蛋白と考えられる. 6,LBP30に対する抗体を作製し末梢神経の免疫組織化学的解析を行った結果,LBP30はエンドノイリウム,ペリノイリウムに分布していた.これはラミニンの分布と類似するものであった. これらのことからLBP-30は末梢神経の細胞外マトリックスに存在し,ラミニンとヘパリンとの結合を何らかの形で調節しているものと推測される.
|