1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09770466
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
松永 薫 産業医科大学, 医学部, 助手 (80248567)
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Keywords | 磁気刺激 / 運動誘発電位 / 鏡像運動 |
Research Abstract |
(1)Congenital mirror movement(CMM)を呈する2症例において,限局性刺激が可能な8字型コイルを用いて,一側運動野を磁気刺激すると,両側上肢筋(二頭筋,三頭筋,短母指外転筋,小指球筋)から運動誘発電位(MEP)が記録され,その潜時はほぼ正常で,左右差はほとんどみられなかった.どちらの運動野を刺激しても,両側上肢筋からMEPが誘発された.しかし,2症例とも,記録する筋肉によってその優位性が異なっていた.CMMでは,一側の運動野から両側上肢筋を支配する下行路のanomalyが存在することが,mirror movementの出現と関連していると考えられた. (2)正常者5例(平均26歳)において,左手関節の急速な屈局または伸展運動(約100msの持続)が,その前後での右運動野磁気刺激により右橈側手根屈筋(FCR)および橈側手根伸筋(ECR)より得られるMEPの振幅に及ぼす影響を検討した.左手関節屈曲運動の場合,運動開始前ではMEP振幅には明らかな変化はみられず,運動開始後,運動の開始と磁気刺激の間の時間間隔(C-T interval)が60ms以上において,FCRではMEP振幅が低下し,ECRではMEP振幅が上昇する傾向がみられた.このMEPの変化は200ms以上持続した.左手関節運動の場合,RCR,ECRともにMEP振幅に明らかな変化はみられなかった.この一側前腕屈筋の急速な筋収縮が反対側の前腕筋に及ぼす影響は,脳梁を介した左右の大脳皮質の相互作用または筋収縮に伴う末梢Ia活動を介した反射(crossed extension reflex)などを反映していることが推測された.
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