1997 Fiscal Year Annual Research Report
ATP感受性カリウムチャンネルを介する代謝性冠血流調節に関する研究:生理的意義及び病態による影響の検討
Project/Area Number |
09770470
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
石坂 浩 弘前大学, 医学部・附属病院, 助手 (90291244)
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Keywords | ATP感受性カリウムチャネル / 冠微小循環 / カリウムチャネルオープナ- / 高血圧 / 糖尿病 |
Research Abstract |
本研究の目的は高血圧・高血糖の各病態におけるATP感受性カリウム(K_<ATP>)チャネルを介する代謝性冠血流調節の障害の有無を検討することであり、さらに、代謝性冠血流調節に対するK_<ATP>チャネルオープナ-の効果を検討することである。今年度の研究成果を以下に示す。 1 ラット摘出心臓におけるアデノシンの効果の検討:WKYラットより摘出した心臓をLangendorffの方法にて定流量潅流し、冠血管抵抗の変化を潅流圧の変化により評価した。アデノシンは濃度依存性に冠潅流圧を減少し、K_<ATP>チャネルの選択的阻害薬グリベンクラミドはこの冠潅流圧減少を抑制した。また、K_<ATP>チャネルオープナ-のニコランジルは冠潅流圧を変えない低濃度でアデシノシンによる冠潅流圧減少を増強した。 2 病態モデル:高血圧モデルとしてSHRを使用している。高血糖モデルとしてはOLETFratを入手し、現在飼育中である。 3 高血圧モデルにおける冠循環特性の検討:SHRより摘出した心臓をLangendorffの方法にて潅流し、潅流圧の変化を観察した。アデノシンは冠潅流圧を濃度依存性に減少したが、グリベンクラミドはこの冠潅流圧減少にほとんど影響しなかった。 以上より、アデニシンによるラット冠抵抗血管拡張はK_<ATP>チャネルを介しており、これはK_<ATP>チャネルオープナ-により増強することが明らかとなった。高血圧では、K_<ATP>チャネルが傷害されており、アデノシンによる冠抵抗血管拡張におけるK_<ATP>チャネルの役割は少ないものと考えられる。
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