1997 Fiscal Year Annual Research Report
中枢内一酸化窒素による血圧および交感神経活動の調節機序に関する研究
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09770489
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣岡 良隆 九州大学, 医学部, 助手 (90284497)
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Keywords | 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / エンドセリン / 血圧 / 心拍数 / 交感神経活動 / 延髄 / グルタミン酸受容体 |
Research Abstract |
麻酔下家兎において脳幹部の一酸化窒素(NO)が反射性交感神経活動抑制を促進していることを報告した(業績論文参照)。 また、麻酔下ラットにおいてin vivoマイクロダイアリーシス法を用いて延髄孤束核(NTS)内を透析灌流し、透析液中に入れたN-methyl-D-aspartate(NMDA)による刺激時の一酸化窒素(NO)の産生をNOXを測定することにより検討した。同様の刺激によりglutamate産生も生じるか否かを検討した。同様の測定をNO合成阻害薬であるNG-monomethyl-L-arginine methyl ester(L-NAME)投与下でも行った。透析中、血圧、心拍数をモニターした。その結果、NMDA刺激によりNOが産生され産生されたNOによりglutamateが産生されることがわかった。また、NMDA刺激により血圧、心拍数の低下が生じその低下の程度はL-NAME下で減弱したことからNO産生によるglutamate産生が血圧、心拍数低下反応に一部関与していることが示唆された(米国心臓協会学術集会で発表)。 一方、in vitroラット脳幹部スライス標本を用いた実験ではendothelin-1がNTS神経細胞を興奮させglutamateに対する反応を増強することを観察した(日本高血圧学会、日本循環器学会、米国心臓協会学術集会などで発表)。また、ETA受容体拮抗薬により逆の反応が観察された。すなわち、内因性endothelin-1はETA受容体を介してNTS神経細胞を興奮させシナプス伝達を促進していると考えられる。さらにこの作用はnon-NMDA受容体拮抗薬でブロックされた。endothelin-1の作用とnon-NMDA受容体とのリンクが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hironaga K,Hirooka Y,et al: "Role of endogenous nitric oxide in the brain stem on the rapid adaptation of baroreflex." Hypertension. 31. 27-31 (1998)
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[Publications] 廣岡良隆: "中枢性循環調節研究におけるc-fosマッピング法。" 最新医学. 52. 120-124 (1997)
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[Publications] 廣岡良隆、竹下彰: "State of the Art:中枢神経系と高血圧。" 臨床高血圧. 3. 159-171 (1997)
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[Publications] 廣岡良隆、竹下彰: "高血圧の一次予防、中枢神経系に対するアプローチ。" 治療学. 31. 1348-1351 (1997)
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[Publications] 廣岡良隆: "臨床医のための循環器自律神経機能検査法。" メディカルレビュー社, 249 (1997)