1998 Fiscal Year Annual Research Report
心筋筋小胞体Triadinの機能解明とカルセクエストリン遺伝子の構造解析
Project/Area Number |
09770490
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢野 健一 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (60230281)
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Keywords | 心臓 / 筋小胞体 / トライアジン / カルシウム |
Research Abstract |
心筋の筋小胞体に存在するCa制御蛋白質triadinの機能を解明するため、本研究を行った。triadinはryanodine receptorとcalsequestrinに結合する蛋白として知られているが、その詳しい機能は不明である。我々は、これまでratを用いた実験系を有しているため、まずrat triadin cDNAの抽出から始めた。核酸配列の決定されているrabbit RNAからRT-PCR法によりrabbit cardiac triadinを合成。これをprobeにしてrat heart cDNAlibraryをscreeningし、rat cardiac triadin cDNAを1つ抽出した。このcDNAは3^1末端が欠けていたため、3^1RACE法によりこの遺伝子の3^1側を抽出した。これらcDNAの核酸配列から3つのisoformが存在することが判った。一方、Northern blotでは心室に2つのbandを認めた。高血圧心肥大のモデルとしての圧負荷肥大心では、2つのbandのうち分子量の大きいisoformのみ、mRNAの発現が増加した。心臓内部位発現の検討では、心房において心室のtriadinと分子量の異なる3つのisoformが観察された。発生の経過中のisoform変化を観察したところ、心室はisoform発現に変化はなかった。胎児期の心房は心室と同じisoformを示したが、adult ratの心房は心房特有のisoformに変化していた。心房と心室の心筋細胞では筋小胞体の形態が異なると言われており、triadinのisoformの存在との関連が興味深い。次に、triadin機能の解明について、当初はantisenseを用いてその機能を検討する予定であったが、最近の遺伝子導入技術の進歩からadenovirusを用いた、negative domonant法を計画し、機能および分子構造との関連について実験を試行中である。triadinのgenomeはreverse PCRによりtriadin promoterの抽出を繰り返したが成功しなかった。現在、rat genomic libraryによりtraidinのgenomeを抽出している。
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