1998 Fiscal Year Annual Research Report
圧受容体反射機能における一酸化窒素とレニン・アンジオテンジ系の相互作用
Project/Area Number |
09770495
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
松村 潔 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (70285469)
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Keywords | 一酸化窒素 / 血圧調節 / 中枢神経系 / 交感神経系 / 動脈圧受容体反射 |
Research Abstract |
本年度の研究では、まず前年度に引き続き、家兎を用いて中枢の一酸化窒素(NO)の動脈圧受容体反射機能に及ぼす影響を明らかにし、次に動脈圧受容体反射機能に重要な役割を果たしている延髄孤束核(NTS)におけるNOの役割をラットを用いて検討した。最初の実験では雄性の日本白色家兎(2.5-3.0kg)を用い、ペントバルビタール静脈麻酔下に、右側脳室にカニューラを留置し、左腎交感神経に双極電極を装着した。実験は、手術後3日目以降に無麻酔状態で行った。NOの合成阻害薬であるN^ω-nitro-L-arginine methyl ester (L-NAME)を側脳室内に持続投与すると、人工髄液投与時に比し、腎交感神経活性および心拍数で評価した最大圧受容体反射感受性が亢進した。NOの供与体であるEt_2N[N(0)NO]Na(NOC 18)の側脳室内投与では逆に最大圧受容体反射感受性が減弱した。一方、L-NAMEの不活性型光学異性体であるN^ω-nitro-D-arginine methyl ester(D-NAME)の側脳室内持続投与では、動脈圧受容体反射感受性は全く変化しなかった。以上のことから、内因性および外因性NOは中枢性に動脈圧受容体反射感受性を減弱させると考えられた。 次に、ウレタン麻酔下のウイスターラットを用いて、NTSにおけるNOの役割を検討した。L-NAMEをNTSに微量注入すると血圧、心拍数の低下と、腎交感神経活性の抑制を認めた。一方、NOC 18をNTSに微量注入すると血圧の上昇と、腎交感神経活性の亢進を認め、この変化はNOの捕捉体であるcarboxy-2-phenyl-4,4,5,5-tetramethylimidazoline-1-oxyl 3-oxideをNTSに前投与することにより遮断された。以上のことから、延髄孤束核ではNOは抑制性に作用し、血圧の上昇と交感神経活性の亢進を来すと考えられた。 いずれの研究結果も次ページに示すとおり、既に印刷公表している。
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[Publications] Kiyoshi Matsumura: "Central nitric oxide attennates the baroreceptor reflex in conscious rabbits" American Journal of Physiology. 274. R1142-R1149 (1998)
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[Publications] Kiyoshi Matsumura: "Role of nitric oxide in the nucleus of the solitary tract of rats" Brain Research. 798. 232-238 (1998)