1997 Fiscal Year Annual Research Report
ACE阻害薬及びCa拮抗薬の虚血性心疾患における治療効果
Project/Area Number |
09770498
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西澤 雅彦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00237695)
|
Keywords | 動脈圧受容体反射 / 心筋梗塞 / 高血圧 / アンジオテンシン受容体拮抗薬 / アンジオテンシン変換酵素阻害薬 |
Research Abstract |
高血圧症の圧受容器反射機能は障害されている。また、心筋梗塞においも圧受容器反射は障害され、しかもこの障害が心筋梗塞後の突然死や致死的不静脈発生の一因であることが示唆されている。一方、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)を心筋梗塞後に投与すると患者の予後が改善することが分かってきた。私どもは、心筋梗塞に対するアンジオテンシン遮断の予後改善効果に圧受容器反射の変化が重要な役割を果たしていると推測した。そこで、心筋梗塞を合併した高血圧ラットにアンジオテンシン受容体拮抗薬(AIIA)(TCV-116)またはACEI(エナラプリル)を長期間経口投与し、圧受容器反射に与える影響を検討した。 心筋梗塞により減弱したウィスター・キョウト・ラット(WKY)の圧受容器反射の感受性(Gmax)は、TCV-116およびエナラプリルの投与で同程度に回復した。高血圧自然発症ラット(SHR)では心筋梗塞を合併することでGmaxが高度に障害された(心拍数(HR);2.3±0.1 vs 0.3±0.1,p<0.01,腎交感神経活動(RSNA);2.2±0.1 vs 1.7±0.1,p<0.05)。TCV-116を経口投与すると交感神経に対するGmaxはシャム結紮群のレベルまで改善したが、HRに関するGmaxは完全に回復しなかった(HR;1.5±0.1,RSNA;2.3±0.1)。エナラプリルの投与でも同様の効果が認められた(HR;1.7±0.1,RSNA;2.3±0.2)が、その効果はTCV-116と差がなかった。 高血圧症による臓器障害の治療、予防に対し、AIIAとACEIの効果の差が興味を持たれているが、AIIAはキニン増加作用を欠くため臓器保護作用が弱いとされてきた。本研究で、心筋梗塞後のSHRおよびWKYの動脈圧受容器反射に対し、AIIAとACEIはほぼ同等の効果を示すことが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] M.Nishizawa: "Improvement in Varoreflex Function by an Oral Angiotensin Receptor Antagonist in Rats with Myocardial Infarction" Hypertension. 29(Part2). 458-463 (1997)
-
[Publications] M.Nishiazwa: "Impaired baroreflex control of heart rate in chronic myocardial infarction with hypertension" Hypertension Research. 18. 335- (1995)