1997 Fiscal Year Annual Research Report
経皮的冠動脈形成術後の細胞増殖とその抑制に関する組織細胞化学的検討
Project/Area Number |
09770504
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
鈴木 洋 昭和大学, 医学部, 助手 (90266106)
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Keywords | 経皮的冠動脈形成術 / ステント / 再狭窄 / 新生内膜増殖 / 細胞内シグナル伝達系 / プロテインキナーゼC |
Research Abstract |
(目的) 経皮的冠動脈形成術(PTCA)は、虚血性心疾患では確立された治療であるが、その高い再狭窄率(40%)は臨床上未解決の問題である。PTCA後の血管内腔肥厚は、中膜平滑筋細胞(VSMC)の内膜への遊走と、その過剰増殖が主な原因であるが、そのメカニズムは、多種の増殖因子により刺激が伝わり、プロテインキナーゼ(PKC)が活性化され、その結果細胞内の遺伝子発現を引き起こすことによると考えられている。そこで、ブタ冠動脈にPTCAあるいはPTCAに加えステントを植え込み、その再狭窄形態の違いを検討するとともに、PKCの内膜増殖に対する関与を中心に検討する。 (結果) 1.PTCA施行群では、外膜増殖が認められ、PTCA後14日が最大であった. 2.PTCA施行群では、新生内膜は、7日から14日目に収縮型平滑筋が合成型に、28日目には再び収縮型に形質交換していた. 3.PTCA施行群では、内膜増殖部に一致してPKC免疫反応が認められ、western blotでもPKC活性が証明された. 4.ステント植え込み群では、外膜増殖はほとんどみられなかった. 5.ステント植え込み群では、内腔側に収縮型平滑筋細胞、中膜側に合成型平滑筋細胞が主に認められた。 6.ステント植え込み群では、ステント周囲にマクロファージと伴に好酸球の浸潤が認められた. 7.ステント植え込み群では、内膜増殖部に一致してPKC免疫反応が認められ、western blotでもPKC活性が証明された. (総括) 1.PTCA施行群、ステント植え込み群のいずれにおいても内膜増殖部に一致してPKC活性が認められ、PKCが内膜増殖のシグナル伝達系に関与していると考えられた。 2.ステント植え込み群では、PTCA施行群と再狭窄形態に違いがみられ、その増殖には異物反応の関与も推測された。
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