1997 Fiscal Year Annual Research Report
心筋虚血、心肥大におけるアポトーシス誘導とその役割
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09770507
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 史子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10266637)
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Keywords | 心肥大 / ラット / アポトーシス / bcl-2 / PCR |
Research Abstract |
近年、プログラム細胞死(アポトーシス)が様々な面から注目されている。アポトーシスは細胞の発生、分化を制御する生体内機構の一つとして働くことが知られてきている。心筋細胞においても心筋炎などによりアポトーシスが報告され、各種心臓疾患の病態進行との関連が注目されている。本年度はまず心肥大でアポトーシス細胞が出現するかどうかについて検討を行った。 雄性SD,Wistarラットの一側腎動脈を結紮し圧負荷肥大心モデル(Goldblatt Rat)を作成。術後、血圧の上昇(BP>200mmHg)を認めたラットより1-7週まで経時的に心臓を摘出した。 摘出した心臓より、組織標本およびRNAの抽出を行った。 組織標本はヘマトキシリリンおよびマッソン染色を行い、心肥大に伴う組織変化を検討した。術後3週頃より心肥大、心筋線維化、を認め。術後7周には著名な心筋線維化、血管平滑筋細胞の増殖、心筋細胞の脱落を認めた。さらに同一標本より免疫組織学的にアポトーシス細胞の有無を、ジゴキシゲニン標識によるDNA断片化を検出した(Apop-Tag,Bio-Rad)。術後4周以降にアポトーシス細胞の出現を認めた。アポトーシスは心筋細胞で多く生じ、心筋線維細胞、血管平滑筋細胞ではほとんど認められなかった。 RNA標本よりMMLV reverse transcliptaseを用いcDNAライブラリーを作成した。これよりアポトーシス抑制遺伝子であるbcl-2遺伝子発現をPCR法を用い検討した。術後4周以降の心筋、特にアポトーシスが多く認められたものでbcl-2遺伝子の発現が減少していた。 次年度はアポトーシス細胞の出現率の定量化、さらに別な心肥大モデルでの検討および心筋虚血によるアポトーシス誘導を検討する。
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