1997 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシンIIAT_2受容体を介した腎機能調節作用の検討
Project/Area Number |
09770518
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
松本 朗 久留米大学, 医学部, 助手 (80219485)
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Keywords | アンジオテンシンII / AT_2受容体 / (^6Phe-amino-)angiotensinII / 腎血流量 |
Research Abstract |
1.目的 レニン-アンジオテンシン系は最も重要な昇圧系の一つであり、AIIのほとんどすべての生理作用はAT1受容体が担っているものと理解されている。一方、AT2受容体を介したAIIの生理的役割についても様々な研究かなされ、AT2刺激がAT1を介した作用に対して何らかのmodulatorとして働いているものと想定されているが、未だ十分な解明がなされていない。そこで、本年度はAT2受容体刺激を介するAIIの心機能および腎機能におよぼす役割を検討するために、イヌに無麻酔無拘束の状態で、AT2受容体選択的アゴニスト(Phe-amino-)angiotensinIIを投与し、平均動脈圧、心拍数、腎血流量および心拍出量に与える影響を検討した。 2.方法 (1)雑種成犬6匹の内腸骨動脈にカテーテルを挿入留置し、上行大動脈起始部と右腎動脈に電磁血流プローブを装着した。なお、動脈圧は圧トランスデューサーを用いて、心拍出量および腎動脈血流量は電磁血流計を用いてそれぞれ測定し、それらのデータはAnalog-digital converter(Mac Lab II)で処理し、Macintosh computerで解析した。 (2)上記の実験犬に対し、(Phe-amino-)angiotensinII 10ng/kg/minを投与し、平均動脈圧、心拍数、腎血流量および心拍出量に与える影響を観察した。 3.結果 (Phe-amino-)angiotensinII 10ng/kg/minの投与により、投与前と比較して平均動脈圧(79±4→72±6mmHg)、心拍数(94±6→90±5bpm)、心拍出量(+2.3±1.5%)は有意に変化しなかったが、腎血流量は有意に増加した(+15±4%,p<0.05)。 4.考察 生理状態において、アンジオテンシンIIはAT2受容体刺激を介して直接腎血管を拡張させていることが示唆された。
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