1997 Fiscal Year Annual Research Report
気絶心筋に対する内因性一酸化窒素増加の影響:ペルオキシナイトライトの役割
Project/Area Number |
09770519
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
服巻 信也 久留米大学, 医学部, 助手 (90248352)
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Keywords | 一酸化窒素 / 気絶心筋 / 心筋虚血再灌流障害 / ペルオキシナイトライト / L-アルギニン / スーパーオキサイド / 酸化ストレス |
Research Abstract |
本研究では,L-アルギニンの冠動脈内投与による内因性一酸化窒素の増加を促し,その増加した内因性一酸化窒素の気絶心筋に及ぼす影響,加えてその機序におけるペルオキシナイトライト役割を検討した. 方法:開胸雑種成犬の左冠動脈前下行枝中部に絹糸を架けた。30分間の観察時間の後に15分間の心筋虚血を作製,その後閉塞解除により再灌流させ120分間観察した.実験は以下の4群に分類.コントロール群(C);対照.L-アルギニン群(L);冠動脈対角枝にL-アルギニンを持続注入.D-アルギニン群(D);冠動脈対角枝にD-アルギニンを持続注入.L-アルギニン+SOD群(S);SODを静注し,以下L-アルギニン群と同様. 結果/考案:【血行動態】血行動態に4群間で有意差は認めなかった.【心筋内NO】心筋内微小透析膜法による虚血部心筋間質からのNOx量(%変化率)は,C群およびD群では虚血中には一旦30%程度減少したが,再灌流10分後には虚血前値に復した.一方,L群およびS群では再灌流後5分から30分の間,虚血前値に比し有意に増加し以後45分でほぼ前値に復した.この事はL群およびS群ではL-アルギニン冠動脈内投与によりNOの増加がみられたことを示している.【虚血部心筋の局所壁運動】観察期における4群間の局所壁運動に有意差はなかった.心筋虚血中の局所壁運動は負の値を呈し,C群およびD群では再灌流後15分後より徐々に局所壁運動は回復し始め再灌流120分後には虚血前値の約70%まで回復した.一方、L群では再灌流後120分目においても局所壁運動は虚血前値の-46%であり壁運動異常の遷延化が観察され,S群ではこの壁運動異常の遷延化を認めなかった. 以上は,本研究の条件下における気絶心筋犬モデルにおいてL-アルギニン投与によって増加したNOがペルオキシナイトライトによる酸化ストレスを介して壁運動異常の遷延化を引き起こしたことを示唆する.今後は酸化ストレスの指標としての心筋過酸化脂質量の測定や,心筋におけるペルオキシナイトライト生成を証明するためニトロチロシンの免疫組織染色を行う方針である.
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