1997 Fiscal Year Annual Research Report
高コレステロール血症における血管内皮および血小板由来一酸化窒素の相互作用
Project/Area Number |
09770521
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
一木 和也 久留米大学, 医学部, 助手 (00258394)
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Keywords | 高コレステロール血症 / 血管内皮 / 血小板 / 一酸化窒素 / 内皮依存性血管弛緩反応 |
Research Abstract |
動脈硬化の発症進展過程に内皮機能障害や血小板活性化が重要で、この機序の一部に内皮および血小板由来の一酸化窒素(NO)の関与が推察され局所血管壁において相互補完的に作用していると考えられる。従来から血管内皮と血小板との細胞間相互作用として、血管リングに活性化血小板を暴露させた時に血小板から放出されるセロトニンやADPが内皮由来NOを産生放出させ弛緩反応を引き起こす事が報告されている。血管弛緩反応機序において内皮および血小板由来NOがどのような相互補完的な作用を果たしているか、さらにこれらの相互補完的な作用に高コレステロール血症がどのような影響を及ぼすかについて検討した。 2%コレステロール食を10週間負荷したNew Zealand White Rabbit(HL群)と普通食で飼育したNew Zealand White Rabbit(N群)を対象として、以下の検討を行った。各対象群より大腿動脈リング標本と洗浄血小板浮遊液を作成し、U-46619で前収縮させた後に血小板浮遊液を暴露した時の血管弛緩反応を以下のGroupで測定する。Group1(HL群血管リング+HL群血小板)Group2(N群血管リング+N群血小板)Group3(N群血管リング+HL群血小板)Group4(HL群血管リング+N群血小板)。内皮依存性血管弛緩反応(EDR)はGroup1および4では有意に減弱しており、Group3はGroup2に比較してわずかに減弱していたが有意ではなかった。血小板由来NO放出能はHL群においてN群に比し有意に低下していた。以上よりコレステロール10週間負荷では血管内皮機能の障害が強く血小板由来NO放出能の差異によるEDRの差は生じ得ないと考えられた。今後はコレステロール負荷期間を短縮して同様の検討を行う予定である。
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