1998 Fiscal Year Annual Research Report
高コレステロール血症における血管内皮および血小板由来一酸化窒素の相互作用
Project/Area Number |
09770521
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
一木 和也 久留米大学, 医学部, 助手 (00258394)
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Keywords | 高コレステロール血症 / 内皮依存性血管弛緩反応 / 血小板由来一酸化窒素 |
Research Abstract |
血管内皮細胞より放出される一酸化窒素(NO)は、一酸化窒素合成酵素(NOS)により産生放出され、血管トーヌスの調整や抗血栓性に関与している。このNO産生放出機構は血小板にも存在し、血小板活性化時にNOを産生放出し、血小板粘着・凝集に対するnegative feedback機構である。高コレステロール血症患者では血管内皮由来NOが減弱し、冠動脈疾患の発症進展に関与すると考えられている。しかし、高コレステロール血症患者では血小板由来NOが減弱しているのか、血管内皮由来NOとどの様な関係にあるのかについては全くわかっておらず、高脂血症ウサギと正脂血症ウサギを用い、大腿動脈リングおよび血小板浮遊液を作成し以下の方法により検討した。1.血管張力測定による血管弛緩反応の検討 2.HPLC法による血管内皮と血小板由来のNO総量であるNOx(NO2/NO3)の測定 3.血小板内cGMP濃度の測定 5.大腿動脈リンクおよび血小板浮遊液を用いてセロトニン添加時のNO放出量をNO選択性電極法により血管内皮および血小板由来NO放出能を測定を行った。高脂血症ウサギ血管リング、内皮除去血管リング群はいずれも内皮非除去正脂血症ウサギ血管リングと比し血管弛緩反応は低下していた。このうち正脂血症血小板との暴露群は高脂血症血小板との暴露群に比べ血管弛緩反応は保たれている傾向にあった。高脂血症血小板ではNO選択性電極法により血小板由来NO放出能および血小板内cGMP濃度は正脂血症血小板に比べ低下していた。このことより血管内皮の機能障害時や剥離時には血小板由来NOが補完的に働いている可能性が示唆された。この結果をふまえ現在、我々は虚血性心臓病の患者において内皮依存性血管弛緩反応と血小板由来NOの関係を検討している。なお各群のNOxを測定し各々内皮、血小板由来NOを推察しようとしたが手技的な問題もあり今回は有意な結果は得られなかった。
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