1997 Fiscal Year Annual Research Report
心房細動に対する高周波カテーテルアブレーションの有効性に関する基礎的・臨床的研究
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09770525
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
熊谷 浩一郎 福岡大学, 医学部, 講師 (10248510)
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Keywords | 心房細動 / カテーテルアブレーション / Bachmann束 |
Research Abstract |
雑種成犬6頭で、人工呼吸・静脈麻酔下に大腿静脈より4極電極カテーテルを右心耳に留置し、大腿動脈より4極電極カテーテルを左房内に留置した。体表心電図、及び右房と左房の心内電位をモニターした。さらにラージチップ電極カテーテルを大腿静脈より挿入し、心房中隔の上縁のBachmann束に留置した。アセチルコリン負荷後、右心耳から心房期外・頻回刺激法により心房細動を誘発した。心房細動が自然停止した後、再度誘発し、心房細動が再現性をもって誘発可能であることを確認した。再現性良く5分以上持続する心房細胞が誘発されるアセチルコリンの用量を決定した。心房細動の持続時間はアセチルコリンの用量依存性に延長した。また他の2頭で、迷走神経刺激によっても心房細動が再現性をもって誘発可能であることを確認した。これらの8頭で、Bachmann束を焼灼するために、ラージチップ電極カテーテルから高周波カテーテルアブレーションを施行した。1頭のみ心房細動はアブレーション後誘発されなくなったが、この例では安楽死後の心臓の病理所見ではBachmann束は貫壁性に焼灼されていた。しかし他の例では心房細胞の誘発を予防することはできず、心臓の病理所見でもBachmann束は貫壁性には焼灼されていなかった。Bachmann束を心房中隔の上縁から透視下で線状に焼灼することはかなり技術的に困難であると思われた。今後はカテーテルをいかに心房中隔の上縁のBachmann束をなぞるように動かす方法を開発する必要性があると考えられた。例えば、カテーテルの形状を改良し、より接触性を高める工夫が一つの方法として挙げられる。さらにより深く焼灼するためにカテーテル先端を潅流しながら冷却できるカテーテルを開発する必要がある。またBachmann束が焼灼されたか否かを判定する方法の確立が今後の残された課題である。
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