1998 Fiscal Year Annual Research Report
ジストロフィン結合蛋白質サルコグリカン群の機能異常による心筋症の解析
Project/Area Number |
09770528
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
花田 裕典 国立循環器病センター研究所, バイオサイエンス部, 室員 (60228509)
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Keywords | 心筋症 / 細胞骨格 / ジストロフィン / サルコグリカン |
Research Abstract |
BIO14.6ハムスターでは、ジストロフィン(Dys)複合体の構成タンパク質のひとつδ-sarcoglycan(SG)の遺伝子異常が報告されている。SGには他に3種のα-、β-、γ-SGが同定されており、BIO14.6ハムスターでは4種のSGすべてが欠損し、Dys複合体が正常に形成されない。DyS遺伝子が筋ジストロフィーの原因遺伝子であることを考え合わせると、ジストロフィン複合体の異常によって心筋症が発症する可能性が高い。しかし、SGを含めてDys複合体の構成タンパク質の機能はほとんど知られておらず、この複合体の機能を解析することによって、心筋症の病態、発症機序、また、治療法の開発について重要な知見を得ることができると考えられる。 昨年は、アンチセンスDNAの導入よりSGを欠失させた骨格筋由来の培養細胞を用いた実験系を作成し、この系が心筋症や筋ジストロフィーの病態モデルとして利用できる可能性を報告した。本年は、治療法の開発も視野に入れ、アデノウィルスベクターを用いてBIO14.6ハムスターにδ-SG遺伝子を導入することでSGの欠損が相補できるかどうか検討を行った。 ハムスタ-6-SG cDNAを組み込んだアデノウィルスベクターをBIO14.6ハムスター(60-90日齢)後足骨格筋に注入後、8、16日目に凍結切片を作成して、各SGに対する抗体で免疫染色した。δ-SGcDNAを導入したBIO14.6ハムスターの骨格筋では、4種すべてのSGが、正常型ハムスターとほぼ同様に存在することが観察された。一方、コントロールとしてβ-gaIactosidase cDNAを導入した骨格筋では、BIO14.6ハムスターと同様に4種すべてのSGの発現はほとんど検出できなかった。この結果は、BIO14.6ハムスターではδ-SG遺伝子の導入によって、ほかの3種のSGの欠損が相補されることが明らかになった。
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[Publications] 重川宗一,花田裕典: "拡張型心筋症の発症にかかわる遺伝子異常" 医学のあゆみ. 187(10). 892-898 (1998)
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[Publications] Iwata, Y., Yoshida, T., Hanada, H., Shigekawa , M: "α1-syntroplim has distinot binding sites for actin and Calmcdulin" FEBS Letters. 423(2). 173-177 (1998)
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[Publications] Yoshida, T., Pan, Y., Hanada, M., Iwata, Y., Shigekawa, M.: "Bidirectional sigraling hetineem sarcoglycans and this integrin adheston system in cultured L^6 myocytes." Journal of Biological Chcmistry. 273(3). 1583-1590 (1998)
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[Publications] Hanada, H., Yoshida, T., Pan, Y., Iwata, Y., Shigekawa, M.: "mRNA expression and cDNA seguences of B-and r-sarogly cans are normal in cardioniyopathic hanstor heart." Biological Pharcentical Bulletin. 20(2). 134-137 (1996)