1997 Fiscal Year Annual Research Report
小児心筋虚血の非侵襲的診断への心室内遅延電位測定の応用一とくに川崎病において
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09770552
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
五十嵐 久二 九州大学, 医学部, 助手 (60253431)
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Keywords | 加算心電図 / 心室内遅延電位 / 川崎病 |
Research Abstract |
川崎病は、原因不明の全身の血管炎を主たる病態とする疾患で時に、心血管合併症をきたし、心筋虚血、心筋梗塞ひいては死の転帰をとることもある。小児における心筋虚血の評価法として、心筋シンチグラフィー、心臓カテーテル検査などがあるが、本研究では、加算心電図を用いた心室内遅延電位測定をおこない、小児における心筋虚血評価への応用について検討してきた。とくに、川崎病の既往歴の明らかなもので、その急性期に心電図、心臓超音波検査をおこなったものを対象とした。心室内遅延電位は、Simson法を用いて、3次元方向からの双極電位を誘導し、高感度増幅したものを平均加算し、電位がnoise levelの2倍以上となる点をQRSの開始点ならびに終末点とした。filtered QRS時間、QRS終末部40msec間の平均電位(RMS)、QRS終末部40μV以下の最短持続時間(LAS)の3つを測定した。Lp陽性の判定基準としては、早渕らの基準を用いた。Lp陽性率と心筋シンチでの心筋虚血所見陽性率、心臓カテーテル検査における冠動脈病変陽性率などとの相関について検討した。これまでの結果では、Lp陽性と心筋虚血所見に関しては、心臓カテーテル検査で冠動脈病変の明らかなものでも心室内遅延電位が陽性とならないものもあり、その有用性については、結論を得ていない。ただし、症例数が少ないことまた、小児におけるLpの判定基準そのものについても、論議の多いことなどを考え、今後症例数をふやし検討を行う予定である。
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