1997 Fiscal Year Annual Research Report
心臓の発生におけるhedgehog遺伝子の発現の解析
Project/Area Number |
09770565
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
五十嵐 浩 自治医科大学, 医学部, 助手 (80260834)
|
Keywords | hedgehog / Activin受容体 / TGF-β受容体 / cardioenesis |
Research Abstract |
Hedgehog(hh)遺伝子は、発生段階において、初期の位置情報を周囲の細胞へ再認識させるオ-ガナイザーとしての役割を果たす遺伝子として注目されている。今回の免疫組織化学によるマウス胎仔の検討では、11.5-14.5日のマウス胎仔の心臓で、部位、時間特異的なDhhおよびShh遺伝子の発現が確認できた。心ループの発達過程で、ShhとDhhが共同して心ループの各セグメントのパターン形成とその特殊化、分化に関わる可能性が示唆され、また、Dhhは、房室弁、半月弁の形成初期から完成に至るまで弁に限局して発現したことから、弁形成と分化に関与していると思われた。 位置情報を周囲の細胞に与える形で働くhh遺伝子は、背腹軸、頭尾軸の形成のみならず、左右軸の決定にも関わる可能性が指摘されているが、activin受容体遺伝子も、このシグナルカスケードを達成する可能性がある。Activin受容体に関しては、11.5から12.5日において、円錐動脈幹の心筋細胞層に強い発現が認められており、hhと伴に左右の分化に関連する可能性が確認されつつある。 心内膜クッションの発達は、円錐動脈幹、房室弁の形成に不可欠であるが、近年、内皮細胞が間葉系細胞に分化し、心ゼリーを産生する過程が、心筋細胞由来のTGF-βによって制御されることが明らかとなってきた。TGF-β受容体に関して検討した結果では、11.5から12.5日において円錐動脈幹の心筋細胞層での強い発現が認められ、12.5日においては、心内膜クッションの間葉系細胞の一部にも、発現が認められた。以上より、TGF-β受容体が、心内膜クッションの形成関連する可能性が示唆された。
|