1997 Fiscal Year Annual Research Report
先天性チアノ-ゼ性心疾患におけるトロポニンTの発現様式の研究
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09770568
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前田 潤 慶應義塾大学, 医学部・小児科, 助手 (00255506)
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Keywords | トロポニンTアイソフォーム / 先天性チアノ-ゼ性心疾患 |
Research Abstract |
先天性チアノ-ゼ性心疾患と、非チアノ-ゼ性心疾患の手術時の切除心室筋を用いて、cDNAレベルでトロポニンTのアイソフォームを検討した。 チアノ-ゼ性心疾患としてファロ-四徴症4例、非チアノ-ゼ性心疾患として当初予定していた肺動脈狭窄の手術例がなく、心室中隔欠損1例、心房中隔欠損1例、さらに両者の移行症例として、大血管転位根治術後(心筋切除時チアノ-ゼなし)1例を検討した。心筋は切除後マイナス80度で凍結保存した。ホモジェナイズした心筋からmRNAを抽出し、逆転写反応でcDNAを作成した。トロポニンTのアイソフォームの差異を認める部分(30塩基対のエクソン)を領域に含むプライマーを設定し、polymerase chain reaction(PCR)を行った。 チアノ-ゼ群、非チアノ-ゼ群、移行群各々において、PCR産物の泳動距離の差が認められなかった。さらに、ダイデオキシ法により、得られた産物の塩基配列を直接解析したが、いずれもトロポニンTの成人型アイソフォームのみ検出された。 今回検討した結果が、実験手技の不備に起因するものなのか、実際にチアノ-ゼ型心疾患で胎児型のトロポニンTの残存がないことに起因するのかについては、さらに検体数を増やし、かつ反応条件(プライマーの調製等)を変えて検討中である。
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