1997 Fiscal Year Annual Research Report
Lowe症候群の病態解明に関する分子生物学的研究-アンチセンスオリゴを用いたOCL-1遺伝子の機能解析
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09770572
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
有田 二郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40246369)
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Keywords | Lowe症候群 / アンチセンスオリゴヌクレオチド / 細胞分化 / シグナル伝達路 |
Research Abstract |
Lowe症候群は、眼、脳、腎臓の障害を特徴とする遺伝性疾患で、細胞内シグナル伝達に関与するイノシトールポリリン酸-5-ホスファターゼと類似した遺伝子(OCRL-1)の異常によるのではないかとされている。しかし、この遺伝子異常が、Lowe症候群の病態形成に如何に関与するかは不明である。本研究ではLowe症候群は全身の細胞内シグナル伝達機構の障害による細胞の分化・成熟障害に起因するとの仮説立て、これを証明することを目的として研究を行った。研究成果:1.in vitroでの未分化神経系モデルとして、ヒト神経芽細胞腫株(HTLA230およびGOTO)あるいはラット褐色細胞腫株PC12を使用した。これらの細胞でLowe症候群に関与する遺伝子として報告されたOCRL-1遺伝子の発現が認められるか否かをノーザンブロットにて検討した。また神経細胞をレチノイン酸(10^<-6>M)あるいは神経成長因子(NGF;50ng/ml)にて分化誘導した後、OCRL-1遺伝子の神経細胞の分化・増殖に伴う発現量の変化を検討した。いずれにおいても発現は極めて弱く、今後はPCRを用いて検討する必要があると考えられた。2.OCRL-1 mRNAの5'側、3'側のそれぞれ18塩基配列に対して相補性を有するanti-sense oligo.を合成する。anti-sense oligo.はヌクレアーゼ耐性と取り込みを上げるためphosphothionate deoxyoligonucleotidesを使用。各anti-sense(5uM)を培養上中に添加し5日間培養した後、いずれのanti-senseがOCRL-1の発現を最も制御するかを免疫沈降-ウエスタンブロット法にて検討した。OCRの活性変化を直接検出することはできなかったため、来年度はanti-senseを投与した際の、培養細胞のNGF、FGFあるいはEGFに対するc-fos、c-jun、jun-B、jun-D、Egr-1等の過性発現の有無をノーザンブロットにて検討する予定である。
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