1997 Fiscal Year Annual Research Report
神経栄養因子/受容体カスケードの活性化による周産期脳障害の治療に関する基礎的研究
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09770573
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
今井 祐之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30203300)
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Keywords | 周産期脳障害 / 遺伝子治療 / 神経成長因子 / 神経成長因子受容体 / 神経可塑性 |
Research Abstract |
in vivoにおいて神経細胞内に機能的NGF/NGFRカスケードを人為的発現させることによって、その神経細胞があらゆる神経栄養因子に対して反応性(分化・成長・維持)を獲得、すなわち傷害を受けた神経細胞の可塑性引き引き出せるのではないかと着想のもと研究を計画した。具体的には(1)神経親和性を有するベクターを用いてin vitroでのNGF/NGFRカスケードによる未分化神経細胞の分化誘導を検討する。(2)神経傷害動物モデルを用いた、in vivoにおける神経修復機構へ及ぼすNGF/NGFRカスケードの有用性に関し検討する。 研究成果:1.神経成長因子受容体(trkA)cDNAの細胞内導入:ヒト神経成長因子受容体(NGFR)をコードするtrkA cDNAを組み込んだ発現ベクターが、in vitroにおいてtrkA蛋白を細胞表面上に発現するか否かを検討するため、ヒト神経細胞芽腫株HTLA230に発現ベクターを導入した。発現細胞には140KDaのTrkA蛋白が発現し、間接蛍光抗体法によるFACS解析では約60%の細胞が細胞表面上にTrkAを発現した。2.in vitroでのTrkA発現神経細胞のNGF応答性:in vitroにおいて発現したTrkA蛋白が機能的NGFRとして作用するか否かを検討した。トランスフェクタントはNGF(50ng/ml)短時間処置した後、immediate-early responseとしてのc-fosの一過性の発現誘導を、またNGF長期投与(7日間)に伴うlate responseとして形態学的分化を示した。来年度はこの発現ベクターをラットの一側、上頚神経節内(SCG)に直接注入(2ul)する。注入1週間後神経節を摘出しtrkA mRNAの発現をRT-PCR法にて確認。さらに一側SGC内にtrkA cDNA注入したラットに対してNGF(200μg)皮下投与(6日間)した後、両側を摘出。注入側の神経節細胞がNGF投与に反応したか否かを形態学的に、検討する予定である。
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