1997 Fiscal Year Annual Research Report
小児糸球体腎炎におけるp75遺伝子の発現解析とその病態関与に関する研究
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09770574
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
岡藤 隆夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40266599)
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Keywords | 小児腎疾患 / 神経成長因子受容体 / 免疫染色 |
Research Abstract |
神経成長因子(NGF)は神経細胞の分化・成長に必須の因子であるが、近年、その受容体であるp75が腎の形態形成(発生過程)に関与することが推測されるに至った。そこで我々はp75が小児の糸球体腎炎においても発現し、その病態形成に深く関与するのではないかの仮説を立て、これを検証することを目的とした。 研究成果:1.小児腎疾患におけるp75発現の免疫組織学的検討:臨床的に急性/慢性糸球体腎炎あるいはネフローゼ症候群と診断され腎生検をうけた症例のパラフィン包埋切片につき、p75に対する特異的抗体(NGFR5あるいはNGFR2)を用いた間接蛍光抗体による免疫組織染色を行った。切片において種々の程度で糸球体ならびに尿細管に陽性細胞が認められた。陽性部位の同定は糸球体構成細胞のマーカーとなりうると特異抗体(α-平滑筋アクチン抗体)との2重染色により、あるいはp75抗体を用いた免疫電顕にて確認することを試みたが、明確な同定はできなった。来年度は、検討した全症例について、従来の組織学的分類と陽性度との間に、また臨床的予後と陽性度との何らかの相関関係があるか否かを統計学的に検討する予定である。 2.in situハイブリダイゼーションによるp75mRNA発現の検討:腎生検例の凍結切片につき、^<35>S標識のp75mRNAに対するアンチセンスRNAをプローブとしたin situハイブリダイゼーションを行うために、本年度はその条件設定のための予備実験をラットを用いて行った。また、今後、幼若マウスの腹腔神経末梢側を切断した際、腎組織内にp75遺伝子の発現変化が認められるか否かを経時的に検討し、腎形態形成におけるp75の役割を明らかにする。
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