1998 Fiscal Year Annual Research Report
小児うっ血性心不全に対する新たなる治療法開発に関する基礎的研究-β2-アドレナリン受容体cDNAの心筋細胞内への導入-
Project/Area Number |
09770580
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
布山 裕一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (70277078)
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Keywords | うっ血性心不全 / アドレナリン受容体 / 遺伝子治療 / 心筋細胞 |
Research Abstract |
小児のうっ血性心不全に対しては多くの薬剤が開発されている。しかし、長期にわたる薬物投与は多くの副作用と同時に薬剤に対する心筋の反応性低下をもたらし、ついには小児科的治療の限界を向かえる。本研究では、心筋細胞内に特異的にβ-アドレナリン受容体を過剰発現させることで受容体の2量体形成を促進し、これによりカテコラミンアゴニストの投与なしで心筋の収縮力を増強させ、うっ血性心不全の治療がができるのではないかとの着想のもと研究を計画した。 研究成果:1.小児うっ血性心不全の心筋細胞おけるβ2-アドレナリン受容体の発現検討: 臨床的に長期にわたるうっ血性心不全を呈した小児の剖検例につき、心臓各部での心筋のアドレナリン受容体の発現をヒト抗β1-および抗β_2-AR抗体を用いた間接蛍光抗体法にて染色し、その発現を対照(明らかなうっ血性心不全の認められなかった小児例)と比較検討した。間接螢光抗体法のでは両者に明かな差は認められなかった。 2.培養心筋細胞へのβ2-AR cDNAの遺伝子導入:ヒトβ-ARの心筋特異的発現を行うため、ヒトβ_2-AR cDNAとレポーターとしてのβ-galactosidase遺伝子をα-ミオシン重鎖(α-MHC)の5'上流プロモーター領域に接合した融合遺伝子を作成した。これを発現ベクターに組み込んだ後、マウスの培養心筋芽細胞株C2C12内へ導入。この際、遺伝子導入株選別のためpSV2-neoを同時にトランスフェクションした。トランスフェクタントはネオマイシン存在下で2週間培養の後、β_2-ARの発現をノーザン、ウエスタンブロットにてスクリーニングし、クローン株選別を試みたが、β_2-ARを過剰発現するクローンが得られなかった。現在、トランスフェクションの方法を変えて同様の実験を継続するとともに、β_2-ARをtransientトランンスフェクショした際に、培養心筋細胞の機能が変化しうるか否かを検討している。
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