1997 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児での安全な末梢血幹細胞・リンパ球採取法の確立
Project/Area Number |
09770587
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
上田 耕一郎 久留米大学, 医学部, 助手 (90289439)
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Keywords | 末梢血幹細胞採取 / 乳幼児 / SVCC / 血液成分分離装置 |
Research Abstract |
平成9年度、当科入院となった体重10kg前後の乳幼児神経芽細胞腫3例、急性骨髄性白血病1例の計4症例に対して合計9回の末梢血幹細胞採取を行った。年齢は7ヶ月から2歳、体重は7kgから13kgであった。採取前化学療法は神経芽細胞腫の症例ではnew A1、急性骨髄性白血病の症例はANLLプロトコールであり、神経芽細胞腫の症例では全例に治療後G-CSFを投与した。採取時期は骨髄回復期血小板数10万/μl以上を目安とした。採取に当たっては血液成分分離装置(CS3000plus)を用い、キットのプライミングには貧血予防のため濃厚赤血球を用いた。また3症例ではsmall volume collection chamber(以下SVCC)を血液成分分離装置に装着した。処理血液量は全例400ml/kgとし、時間あたりの処理量は最高30ml/minまでとした。 (結果)上記の方法で全症例ともに採取前中後のバイタルサインは変化なかった。しかし前後のCBC、生化学検査の結果ではSVCCを用いなかった例では血小板数は採取前後で6万低下したのに対し、SVCC使用例では最高5万の低下を示したのみであった。また生化学では電解質の異常は全例で認められなかったものの、アルブミンはSVCC未使用例のみ1.2g/dlの低下を示した。 採取総細胞数は2.59×10^5〜40.65×10^5CFU-GM、2.26×10^7〜12.28×10^7CD34でありばらつきはあったが全例で移植可能な細胞数を得ることができた。 (考察)4症例に対し末梢血幹細胞採取を行ったが、全例でとくにバイタルサインの変化を来すことなく安全に幹細胞採取を行うことができた。しかしSVCC未使用例では血液検査所見の異常が認められ、15kg以下の患者に対してはSVCCが有用であると考えられた。今後症例数を重ねさらに検討していく予定である。
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