1997 Fiscal Year Annual Research Report
先天性心疾患発症におけるNeurotrophin-3の発現
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09770591
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
渡辺 順子 久留米大学, 医学部, 助手 (40258489)
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Keywords | 家族性心房中隔欠損症 / 刺激伝導障害 / 内臓錯位 / 連鎖解析 |
Research Abstract |
代表的先天性心疾患のひとつである心房中隔欠損症の家系解析を行った。 1.臨床症状の評価および家系検索 家族性心房中隔欠損症(以下ASDと略す)の1家系において家系検索を行った。発端者は45才の女性で心房細動を主訴として来院。12才時にASDの手術をうけている。発端者の長男と長女にASDと刺激伝導障害を合併している。さらに発端者の姉の次男がASDと刺激刺激伝導障害を合併している。本家系においてASDを合併する者は上記3名であるが、発端者の姉、および発端者の異母姉妹およびその娘に刺激伝導障害を認める。さらに内臓検索の結果、発端者のみに多脾症、内臓錯位を認めた。症状のない家族についても引き続き内臓錯位の有無、刺激伝導障害等検索中である。 心房中隔欠損症はその多くが多因子遺伝とされているが、その中で、刺激伝導障害を伴うものと伴わないものの少なくとも2つの異なる原因遺伝子が推定されている。本家系はこれまでの家族性ASD症例と同様、常染色体優性遺伝形式をとっている。本家系の解析により心房中隔欠損症は、内臓錯位ないしは体軸決定の原因遺伝子の異常により発症する可能性が示唆された。 2.連鎖解析 現在迄にマッピングが明らかになっているASDの原因遺伝子はASD2(6q21.3にマップ)のみである。本家系におけるASDの原因遺伝子がASD2と一致するかどうか6番染色体の連鎖解析中である。線毛異常に内臓逆位や心奇形を合併するKartagener症候群は12番染色体短腕にマップされており、Neurotrophin-3も12番染色体短腕p13にマップされている。このことから、12番染色体も、本家系におけるASD原因遺伝子がマップされる染色体の有力な候補として、連鎖解析を行っている。
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