1998 Fiscal Year Annual Research Report
強皮症にみられる皮膚硬化に関する線維芽細胞内情報伝達機構と免疫抑制剤との関連
Project/Area Number |
09770606
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
遠藤 秀治 千葉大学, 医学部, 助手 (50282489)
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Keywords | p38MAPK / PDGF-BB / IL-4 / TGF-β / 強皮症 |
Research Abstract |
[目的]TGF-β,PDGF,IL-4等のサイトカインはプロコラーゲン合成亢進をきたし,強皮症の皮膚病変に存在することから,これらサイトカイン受容体からの情報伝達経路が強皮症の皮膚硬化に関与していると推察される。一方,p38MAPKは真皮線維芽細胞のプロコラーゲンやコラゲナーゼの産生に影響を与えるIL-1などの種々の刺激によって活性化される。そこで皮膚線維化におけるp38MAPKの役割を培養真皮線維芽細胞を用いて検討した。[結果] 1) PDGF-BB,TGF-β,IL-4はp38MAPKをリン酸化した。ただし、PDGF-BBとIL-4は速やかにp38MAPKをリン酸化したのに対して、TGF-β刺激ではリン酸化に遅延がみられた。2) P38MAPKの特異的阻害剤は,PDGF-BB,TGF-b,IL-4によるprocollagen α 1(I)mRNAの発現増強を部分的に抑制した。3) p38MAPKの特異的阻害剤は,PDGF-BBによるinterstitial collagense mRNA発現増強をさらに増強させた。なお、TGF-βやIL-4刺激ではinterstitial collagense mRNA発現に明確な変化を認めなかった。[結論] 上記の結果から、p38MAPKはプロコラーゲン発現増強とコラゲナーゼ発現抑制に関与すると考えられ、p38MAPK情報伝達経路は皮膚線維化に関与することが示唆された。今後は動物モデルを用いて皮膚硬化に対するP38MAPKの特異的阻害剤の効果を検討する予定である。
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