1997 Fiscal Year Annual Research Report
表皮ケラチノサイトにおけるp16^<INK4a>及びp19^<ARF>の機能
Project/Area Number |
09770635
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
久保 宜明 徳島大学, 医学部, 助手 (10260069)
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Keywords | 基底細胞癌 / p16^<INK4a> / p19^<ARF> / INK4a / PCR-SSCP |
Research Abstract |
p16^<INK4a>とp19^<ARF>は、INK4a遺伝子座によりコードされる蛋白であり、細胞周期を制御する機能を持つ。我々は、一部の有棘細胞癌(SCC)においてINK4a遺伝子座に変異があることを以前に報告したが,SCC以外の皮膚腫瘍についてまだ検索されていない。今回、25例の基底細胞癌(BCC)において、INK4a遺伝子座の変異を検討した。 凍結またはパラフィン包埋した組織より、正常組織をなるべく含まないように腫瘍部分のDNAを抽出した。次に、INK4a遺伝子座の全コーディング領域(p16^<INK4a>に特異的なエクソン1αおよび3、p19^<ARF>に特異的なエクソン1β、共通のエクソン2)を含むように6組のプライマーセットを作製し、genomic DNAを各々のプライマーセットを用いてpolymerase chain reaction(PCR)で増幅後、single strand conformation polymorphism(SSCP)解析を行った。 PCR-SSCP解析では、1例の多型を認めた以外、BCC25例全例に異常は認められなかった。dideoxy法で多型の塩基配列を決定したところ、コドン130のCTG(Leu)からCCG(Pro)へのミスセンス変異であった。この多型は今までに報告されていない。この症例は、54歳の男性で、2年前より左こめかみ部に単発のBCCがあったという。既往歴や家族歴に癌の発症はなかった。多発でなく単発のBCCであり、また若年発症でないことより、BCCの発生にこの多型は関与していないと考えた。 BCC全例に変異は認められず、ホモ接合性欠失やプロモーター領域のメチル化によってINK4a遺伝子座が不活性化されている可能性は残るものの、INK4a遺伝子座はBCC発生に重要ではないと考えられる。
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Research Products
(1 results)