1997 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化の線維化病変形成への関与
Project/Area Number |
09770639
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
刈谷 公美 高知医科大学, 医学部, 助手 (70243821)
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Keywords | 皮膚線維芽細胞 / 筋線維芽細胞 / α-平滑筋アクチン(ASMA) / TGF-β / 器官培養 |
Research Abstract |
α-平滑筋アクチン(ASMA)は筋線維芽細胞のマーカーの一つである。真皮結合織においてASMAを表出する筋線維芽細胞分化した細胞は、線維芽細胞に由来すると考えられている。我々は線維増殖性病変部パラフィン切片において、酵素抗体法により真皮結合織間にASMAを発現する細胞を認めた(平成7年度強皮症研究班)。線維芽細胞の筋線維芽細胞分化とコラーゲン合成および線維化病変発現との相関を解明するために、正常ヒト皮膚由来培養線維芽細胞でのASMAの発現を蛍光抗体法で検討した。市販のヒト新生児由来あるいは手術材料より得られた正常真皮線維芽細胞の同継代数(passage3-8)の培養線維芽細胞を用いて、種々のサイトカイン(TNF-α、TGF-β、PDGF、IFN-γ:10ng/ml、20ng/ml:反応時間44-48時間)で刺激したところ、刺激の有無にかかわらずASMAの発現を認め、サイトカインの種類によってASMAの発現、増強に有意差を認めなかった。また、各サイトカイン(10ng/ml:反応時間44時間)で刺激後コラーゲン合成能を^3Hプロリンを用いて測定したが有意差は得られなかった。単層培養すること自体がストレスとなり筋線維芽細胞への形質転換を促した可能性を考えた。そのため、collagen Iでコートしたスライドガラスを使用したが同様の結果が得られた。今後は器官培養に変更し、ASMAの発現の有無については免疫組織化学的手法を用いて検討中である。手技として、手術材料より得られた正常ヒト皮膚切片(表皮、真皮を含む。約27mm^3)をセルカルチャー・インサートを用いて、器官培養を行う。培地中に種々のサイトカイン(TNF-α、TGF-β、PDGF、IFN-γ)を添加し経時的に刺激する。パラフィン切片にてASMA、desmin、vimentinの単クローン性抗体を用いて免疫染色(SAB法、DAB発色)する。TGF-β(10ng/ml:反応時間6時間)で刺激した正常ヒト皮膚において真皮乳頭下層にASMA陽性細胞の出現を認めた。
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