1997 Fiscal Year Annual Research Report
日光弾力線維症真皮におけるヒアルロン酸リッチマトリックスの変化の原因
Project/Area Number |
09770650
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
磯貝 善蔵 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (20285208)
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Keywords | 光老化 / 日光弾力線維症 / PG-M / versican / decorin / 蛋白質分解酵素 / ヒアルロン酸 |
Research Abstract |
これまでの研究からヒアルロン酸結合能を持つ大型コンドロイチン硫酸プロテオグリカンであるPG-M/versicanは成人皮膚では弾性線維に関連した局在を示し、特に日光弾力線維症のような変性弾性線維には発現の増強が見られることがわかっている。そこで病理学的に日光弾力線維症の初期病変と進行した病変において、ビオチン化したヒアルロン酸結合ドメインを用いてヒアルロン酸の局在を検討すると、進行するに従い変性弾性線維に富む真皮からヒアルロン酸が失われる傾向が認められた。 生化学的な解析では日光弾力線維症皮膚組織から抽出したプロテオグリカン分画でのversicanは正常皮膚と比べて量的にも増加しており低分子化したものが多くみられた。 さらにビオチン化ヒアルロン酸を用いたヒアルロン酸との結合アッセイで,低分子のversicanの多くはヒアルロン酸結合能を持たないことが見いだされた。つまり日光弾力線維症ではヒアルロン酸結合能がない低分子のversicanが存在していることがわかった。これは日光弾力線維症皮膚から分離した線維芽細胞培養上清からのversicanでは見られなかったため組織においてなんらかの蛋白質分解酵素が作用していることを示唆する。 同様に小型コンドロイチン硫酸プロテオグリカンでありTGF-βと結合能をもつdecorinについて検討したところ日光弾力線維症皮膚組織では量的に減少しており、さらに低分子化した明瞭なバンドが見られた。decorinはTGF-βと結合しその活性調節やタイプ1コラーゲンに結合し膠原線維の形成に関与する。そのためdecorinの減少と低分子化は光老化皮膚の成立に大きく関与していると考えられる。
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