1997 Fiscal Year Annual Research Report
慢性炎症における組織傷害の制御因子としての肥満細胞の役割
Project/Area Number |
09770654
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
早川 順 杏林大学, 医学部, 助手 (30255393)
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Keywords | 肥満細胞 / W / W^v / Sl / Sl^d / ハプテン / サイトカイン / 即時型反応 / mRNA |
Research Abstract |
肥満細胞はその顆粒を放出することにより多くの炎症反応に関与することが明らかになっている。実際、繰り返しハプテン塗布を行った慢性炎症の局所には多数の肥満細胞の集積を認める。このような肥満細胞を欠損するW/W^v,Sl/Sl^dマウスにハプテンを繰り返し塗布し、どのような免疫反応が惹起されるかを検討した。 1.肥満細胞欠損マウスに繰り返しハプテン塗布を行ったところ、W/W^v(c-kit異常)では慢性化につれ肥満細胞が認められるようになり、それに応じて即時型の浮腫性反応が観察された。それに対しSl/Sl^d(c-kit L異常)では殆ど肥満細胞は認められず、即時型の反応も全く認められなかった。 2.肥満細胞欠損マウス(W/W^v)にハプテン塗布を行い、経時的に皮膚を採取しサイトカインをmRNA及びタンパクレベルにて測定した。IFN-γ,IL-2,IL-4,IL-10に関して比較を行ったところ、W/W^vではmRNAレベル、タンパクレベルで多少低い傾向が認められたものの、著名な差は認められなかった。 3.局所の炎症反応の強さを耳翼のtotal thicknessを測定することにより欠損マウス(W/W^v,Sl/Sl^d)とcontrolで比較したところ、W/W^vはcontrolと差が認められなかったが、Sl/Sl^dではむしろtotal thicknessは厚くなり皮膚の変形も著明となった。 以上の結果は、肥満細胞欠損マウスでは浮腫反応が起こりにくいため、好中球、好酸球による組織傷害がより顕著になる可能性を示唆している。
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