1997 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚の光老化の分子生物学的解析:プロテアーゼ活性とマトリックス変性の相関性
Project/Area Number |
09770656
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
瀧本 玲子 順天堂大学, 医学部, 助手 (00266008)
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Keywords | 皮膚 / 光老化 / コラーゲン / エラスチン / コラゲナーゼ / エラスターゼ / 浸潤細胞 |
Research Abstract |
紫外線が関与する皮膚の老化(光老化)を解析する目的で、露光部(顔面)と非露光部(躯幹)の皮膚組織内の、(1)MMP-1,MMP-2,elastase,TIMP-1,TIMP-2の局在、(2)プロテアーゼ陽性細胞の同定、(3)ハイドロキシプロリン量と組織染色性の相関性、をそれぞれ検討した。材料は、炎症のない顔面・躯幹の母斑、それぞれ10症例の手術標本を使用した。 その結果、(1)MMP-1,MMP-2,elastaseはいずれも真皮内に浸潤した細胞に均等に認められ、平均陽性細胞数は、MMP-1(170 cells/mm2)、MMP-2(158 cells/mm2)、elastase(116 cells/mm2)であり、いずれも非露光部に比べ露光部で有意に多かった(p<0.01)。TIMP-1,TIMP-2は、使用した抗体では陽性所見が得られず、再検討中である。(2)MMP-1陽性細胞の一部はCD3陽性(T cell)であり、またトルイジンブルー染色でメタクロマジ-を示す細胞もあり、MMP-1陽性の肥満細胞の可能性も示唆された。(3)Kivirikko,Laitinen,Prockopの方法を用いてヘアレスラットのハイドロキシプロリン定量を行い、Masson染色による組織学的真皮内膠原線維面積と生化学的ハイドロキシプロリン量の間に弱い相関を認めた(y=14.860x +28.159,r=0.671)。しかし標本数が少ないため(n=5)、統計学的な有意差は得られなかった。
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