1997 Fiscal Year Annual Research Report
低線量撮影したX線CTの画質向上を達成するための画像処理フィルタ設計法
Project/Area Number |
09770670
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保 直樹 北海道大学, 医療技術短期大学部, 助手 (80241389)
|
Keywords | CT / 画像処理 / 雑音 / 低線量 / ウィナーフィルタ / 空間フィルタ / パワースペクトル / 高コントラスト分解能 |
Research Abstract |
低線量撮影したX線CTの画質を改善する目的で空間フィルタ処理を試みた.使用したフィルタはウィナーフィルタ理論に基づいて設計した。使用機器は日立X線CT装置CT-W400,京都科学社製JCT特型CTテストファントム(高コントラスト分解能用,アクリル樹脂製で穴には空気が封入),東芝社製医用画像処理装置GMS-550Uであった.サンプル画像は直径1.0mmの穴3個並んだ部分を含む12.5×12.5mmの範囲とし,管電流100mAおよび200mAで撮像した.初めにアクリルで均一な部分のCT画像から雑音のパワースペクトルを推定した.局所領域16×16画素の範囲だけになるようにブラックマン-ハリスの窓関数を施した.ただしスペクトルの計算自体は128×128で行うことで空間周波数分解能を向上させた.そして動径方向のスペクトルを求めることで1次元化した.次にサンプル画像に雑音成分の分布の逆数をフィルタとして施し,雑音補正画像を求めた.この画像の動径方向パワースペクトルから,高周波成分が雑音の強さであると仮定してウィナーフィルタを設計した.そのウィナーフィルタと雑音成分の分布を掛け合わせたフィルタを雑音補正画像に施行した. 1.窓関数を施した後の雑音パワースペクトルの形はHanning-weighted ramp filter関数型でほぼ近似できた. 2.管電流200mAの原画像ではアクリル部分と穴のCT値の差は542.6であった.空間フィルタを施した管電流100mAの画像は575.3となり,コントラストが改善した. 3.管電流200mAの原画像ではアクリル部分の変動係数(標準偏差/平均×100)は7.0%であった.空間フィルタを施した管電流100mAの画像は5.8%となり,雑音が抑制された. 低線量撮影で雑音が増加した画像を本手法で,コントラストを保ちつつ雑音を抑制できる可能性が示唆された.
|