1998 Fiscal Year Annual Research Report
MRIを用いたラット脳梗塞におけるNアセチルアスパラギン酸の拡散係数の検討
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09770682
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 直人 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10261992)
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Keywords | 磁気共鳴画像 / 拡散強調画像 / 磁気共鳴スペクトロスコピー / 脳内代謝物質 / 脳梗塞 |
Research Abstract |
<目的>急性期脳虚血病変では、梗塞に陥った組織の容積及び部位 側副血行路の状態、年齢などに差異が存在し、神経細胞の障害の程度を非侵襲的あるいは低侵襲的に表す方法は現在のところ数少ない。プロトンMRSで観測される代謝物質であるN-acetylaspartate(NAA)、choline containing compounds(Cho)及びcreatine and phosphocreatine(Cre)は主に細胞内に存在しており、これらのADCを検討することにより、細胞内環境に特異的な拡散の変化を得ることが期待しうる。 <方法>使用装置は水平型7.05T超伝導MR装置と送受信兼用径2cm表面コイルである。NAA60mM、クレアチシ50mM、塩化コリン10mM、乳酸60mMのphantom、体重250-350gの正常雄Wistarrat 8匹に対して自由水と各代謝物質の,ADCを求めた。さらに左大脳半球梗塞rat10匹に対しては、梗塞発症から9時間までの梗塞半球及び非梗塞半球における自由水と各代謝物質のA[)Cを計測した。TR/TE/TM=3000/30/40msec、△/δ=54/6msec、MPGは三軸同時に印可するSTEAM法を用いた。 <結果と考察>phantomにおけるADCは、自由水21.0±0.4、Chol0.5±0.6、Cre8.5±0.3、NAA6.5±0.2、1actate9.5±0.2(単位は総て×10^<-4>mm^2/s)であった。健常ラットにおける脳内自由水及び代謝物質のAI)Cは右、左の順に、自由水7.O±0.2、7.0+.0.2、Chol1.5±0.1、1.5±0.2、Crel.8±0.2、1.9±0.2、NAA1.8±0.2、1.8±0.1であり、有意な左右差は見られなかった。大脳半球梗塞ラットにおいては自由水及びすべての代謝物質において2時間後の非梗塞半球と比較し、梗塞半球ADCは有意に低下したが、代謝物質のADC変化は自由水のそれと比べていずれも大きかった。その理由としてpenumbra領域だけでなく、梗塞半球における非梗塞部にも代謝物質のADC低下が起こっている(intrahemispheric diaschisis)可能性や、脳梗塞時おける代謝物質のADC低下が自由水よりも大きい、すなわち鋭敏である可能性が考えられた。非梗塞半球の各代謝物質のADCは、2時間後に比べ8時間後にはCho21%、Cre9%、NAA18%それぞれ低下した。梗塞発症後24時間以内の動物モデルでは、脳血流及び局所酸素代謝、グルコース代謝などの代謝は低下する報告が多いが、代謝物質ADCの低下もこれらtranshemispheric diaschisisの一つと思われる。
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Research Products
(1 results)