1997 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血行動態改善による放射能標識モノクローナル抗体の腫瘍治療効果増強に関する研究
Project/Area Number |
09770685
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
絹谷 清剛 金沢大学, 医学部, 助手 (20281024)
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Keywords | モノクローナル抗体 / 放射能標識 / アンギオテンシンII / キニナーゼ阻害剤 / 腫瘍抑制効果 |
Research Abstract |
アンギオテンシン-II投与による昇圧操作およびキニナーゼ阻害剤(エナラプリル)による血管透過性亢進作用により得られる放射能標識抗体の腫瘍集積性改善により、放射免疫治療の効果改善が得られるか否かを担癌マウスにおいて検討した。 ヒト大腸癌LS-180移植マウスにおいて、以前の検討で決定したAT-II、エナラプリルの至適投与量(各々2μg/kg/min,30μg)により操作を加えた群および未操作群に、I-131標識A7抗体(マウスIgGI)3.7MBqあるいは9.25MBqを投与し、その腫瘍発育抑制効果を観察し未治療群と比較した。抗体投与時の腫瘍サイズは1183±465mgで、観察群間に差は認められなかった。 全べての治療群において、腫瘍発育は未治療群と比較し有意に抑制された(p<0.05)。非昇圧9.25MBq投与群の腫瘍発育抑制は、非昇圧3.7MBq投与群より有意に顕著であった(P<0.0034)。昇圧9.25MBq投与群の腫瘍抑制効果は、非昇圧9.25MBq投与群および昇圧3.7MBq投与群に比べより大きい傾向にあったが、有意差を認めなかった。興味深いことに、昇圧3.7MBq投与群の腫瘍発育抑制効果は非昇圧9.25MBq投与群に匹敵するものであった。したがって、この実験モデルにおいて、本操作により2.5倍の治療効果比が得られたことになる。 以上の結果から、本操作により腫瘍血行動態をコントロールすることにより、放射免疫治療の効果改善が得られる可能性が示された。
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