1997 Fiscal Year Annual Research Report
Gd-dynamic MRIを用いた肺癌と良性病変の鑑別、増強効果と病理像との相関
Project/Area Number |
09770722
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
藤本 公則 久留米大学, 医学部, 助手 (00199366)
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Keywords | 肺癌 / 肺野良性腫瘤 / 良、悪性の鑑別 / dynamic MRI / 腫瘍内血管 / 腫瘍間質 |
Research Abstract |
肺癌と良性病変の区別にGd-dynamic MRIが有用かを検討した。また、造影効果の違いがどのような病理像を反映しているかを病理像との比較で検討した。 (検討1 肺癌と良性病変の鑑別)単純X線、CTなどで肺癌との鑑別が問題となった92例(良性31例、肺癌61例)にdynamic MRIを施行し、得られた画像から腫瘤に関心領域を設定し、経時的変化をみるためにTime-Signal intensity curve(TSI curve)を作成した。TSI curveから得られた各種パラメーターを数値化し、良、悪性の比較を統計学的手法を用いて行い、鑑別点を検討した。造影前の信号強度と比較した腫瘤の最大造影効果比(ERTmax)は、良性に比して肺癌で高く、最大造影に至る時間(Tmax)は、良性に比して肺癌で早かった。また、最大造影効果から3分後の造影効果との比率(wash-out ratio:WR)は、良性に比して肺癌で高かった。まとめると,肺癌は良性に比して、腫瘤の信号は早期に強く増強され、また効果は早く減弱するといえ、dynamic studyによって良、悪性の鑑別の可能性が示唆された。 (検討2 病理学的検討)特に3cm以下の肺癌切除22例を対象とし、腫瘍の増強効果と病理像を比較検討した。摘出された肺癌を固定し、割画像を作成、HE染色のみならず、血管の分布、数を知るために内皮を特異的に染色するFactor-8 stain、間質の分布を検討するためにEVG stainを行い、腫瘍の内部性状、腫瘍血管の分布、数、間質量などとTSI curveの各種パラメーターとの相関を統計学的に検討した。腫瘍内小血管数はERTmax、WRと正の相関、Tmaxと負の相関を示し、腫瘍内間質量(特に弾性線維)が多いものはWRが有意に低いという結果で、腫瘍内血管数が多いものほど早く強く造影され、腫瘍間質量が多いものほど造影効果が持続する(造影剤の排出が悪い)という結論であった。 現在、検討1および2ともに症例を増やし、さらに検討中である。
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