1998 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病の情動症状に関する神経化学的及び行動薬理学的研究-慢性覚醒剤中毒モデルにおける攻撃性に関する研究-
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09770725
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 猛 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (70250438)
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Keywords | 覚醒剤 / 精神分裂病 / 攻撃性 |
Research Abstract |
精神分裂病では幻覚、妄想のみならず、不安、攻撃性など情動面の精神症状が顕著に出現する。特に攻撃性は時に殺人などの暴力や治療上の処遇困難の一因となることは周知の事実である。しかも、精神分裂病のモデルとされる覚醒剤精神病でも、幻覚妄想の他しばしば著しい攻撃性の亢進がみられ、医学的にも社会的にも大きな問題となっている。本研究では精神分裂病ならびに覚醒剤精神病において重要な問題である攻撃性に焦点をあて、精神分裂病の動物モデルである慢性覚醒剤中毒モデルの攻撃行動について検討する。 Methamphetamine(MAP)隔日漸増投与によって慢性覚醒剤中毒モデルを作成し、攻撃性の増強に覚醒剤反復投与が影響するかどうかを検討した。ラットを個別飼育した直後から、MAP5-20mg/kgを隔日漸増投与(1日2回、計8回の皮下注射、1日毎に5、10、15、20mg/kgと用量を増やしていく)し、最終薬物投与の1週間後に攻撃行動を観察した。MAP反復投与したラットのケージに生食(生理的食塩水)反復投与したラットを置くと、MAP反復投与ラットによる顕著な攻撃行動(fullaggressiveposture)が認められ、さらに雄の性行動(mountin9)が認められた。生食反復投与ラットのケージに生食反復投与ラットを置いた場合には、攻撃行動も性行動もあまりみられなかった。したがって、MAPを大量反復投与したラットでは、異常な攻撃行動も性行動も顕著にあらわれた。神経化学的、行動薬理学的検討は現在さらに進行中である。
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