1998 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー型痴呆のアポリポ蛋白E多型と脳病変の局在に関する研究
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09770731
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
川勝 忍 山形大学, 医学部, 講師 (00211178)
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Keywords | アルツハイマー型痴呆 / アポリポ蛋白E / SPECT / 発症年齢 / 側頭葉 / 前頭葉 |
Research Abstract |
アルツハイマー型痴呆の危険因子であり、老人斑形成に影響を与えるアポリポ蛋白E多型が、画像診断とくにSPECTからみた脳病変の局在性に与える影響について検討した。 まず、各種痴呆疾患におけるアポリポ蛋白E多型について、等電点電気泳動法を用いて測定した。対象は、非痴呆老人30例(平均年齢80歳)、アルツハイマー型痴呆67例、そのうち65歳以前の早期発症型(AD)29例、65歳以降の晩期発症型(SDAT)38例、ピック病9例、脳血管性痴呆26例ある.アルツハイマー型痴呆発症の危険因子であるε^4遺伝子頻度は、対照群0.07、アルツハイマー型痴呆群0.30(うちAD群0.21、SDAT群0.37)、ピック病0.22、脳血管性痴呆0.12であり、アルツハイマー型痴呆で有意に高頻度で、とくにSDATで高かった.また、少なくとも一つのε^4遺伝子を有する率は、対照群13%、アルツハイマー型痴呆54%(うちAD38%、SDAT66%)、ピック病44%、脳血管性痴呆23%であり、アルツハイマー型痴呆のうちのSDATで突出して高頻度であった。 次いで、SPECT(Xe-133またはTc-99m-ECDまたはTc-99m-HMPAO)でみた脳血流分布を、少なくとも一つのε^4遺伝子を有する群と有さない群の2群に分けて比較すると、ε^4(+)群では、ε^4(-)群と比較して、側頭葉および前頭葉での血流が有意に低下していた。また、ε^4(-)群では、ε^4(+)群と比較して、頭頂葉の血流が低下している傾向がみられた。このことから、(1)ε^4遺伝子は、アルツハイマー型痴呆の側頭葉および前頭葉病変の形成に影響を与え、これはとくに晩期発症型で関係している、(2)アルツハイマー型痴呆の頭頂葉病変の形成には、ε^4遺伝子以外の要因が関与しており、早期発症型との関連がある、ことが示唆された。
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