1998 Fiscal Year Annual Research Report
神経内分泌的負荷試験による,リウマチやセロトシン系抗うつ薬に対する反応性の予測
Project/Area Number |
09770767
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
寺尾 岳 産業医科大学, 医学部, 講師 (80217413)
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Keywords | 神経内分泌的負荷試験 / リチウム / 反応予測 / m-CPP |
Research Abstract |
産業医科大学神経精神科に入院中あるいは外来治療中の患者で、リチウム投与が予定されており、重篤な身体疾患を有さず、研究の目的・方法及び危険性を十分に理解し、自由意志により書面で参加を同意した患者10名に神経内分泌的負荷試験を行った。まず、負荷試験結果に関して、ACTH,コルチゾール、プロラクチンの基礎値(m-CPP服薬前の値2回分の平均値)を最大値から差し引くことでそれぞれのホルモンの分泌反応の指標とした。さらに、負荷試験中のVisual Analogue Scale(VAS)で測定した精神症状に関しても基礎値を最大値から差し引くことで指標とした。また、リチウム反応性に関しては、リチウム追加直前の評価点から3週間後の評価点を差し引き、この差を直前の評価点で除することにより改善率とした。その結果、患者全体において、各種ホルモンの分泌反応と改善率の間には有意な相関を認めなかった。しかし、VASで測定した精神症状の中でTension「緊張している」と改善率(rho=0.67,p=0.044)、Anger「腹が立っている」と改善率(rho=0.70,p=0.035)との相関は有意であり,Anxiety「不安である」と改善率(rho=0.64,p=0.055)との相関も有意な傾向にあった。比較的症例数の多いうつ病6名に限定してもやはり各種ホルモンの分泌反応と改善率の間には有意な相関を認めなかったが、VASで測定した精神症状の中でAnger「腹が立っている」と改善率(rho=0.89,p=0.048)との相関は有意であり,Tension「緊張している」と改善率(rho=0.84,p=0.060)、Unhappiness「気持ちが落ち込む」と改善率(rho=0.77,p=0.085),Destructiveness「物を壊したい」と改善率(rho=0.80,p=0.074)との相関も有意な傾向にあった。結論として、現在までの結果から、m-CPP負荷試験におけるホルモン反応よりもむしろ精神的な反応が、リチウム反応性の予測に有用である可能性が示唆される。
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