1997 Fiscal Year Annual Research Report
脳・中枢神経系に発現する甲状腺ホルモン代謝酵素の構造及び発現調節機序の解明
Project/Area Number |
09770804
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
豊田 長興 関西医科大学, 医学部, 助手 (90278630)
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Keywords | 甲状腺ホルモン / 代謝 / 酵素 |
Research Abstract |
最近米国のグループにより、ラット褐色脂肪細胞cDNA libraryよりType2 iodothyronine deiodinase(D2)cDNAが単離され報告された。報告されたcDNA(rBat 1-1)は、細胞に導入しても酵素活性を発現せず、cDNAの一部分であると考えられている。即ち、報告されたD2 cDNAから予想されるアミノ酸一次構造より、D2蛋白は、Type1 iodothyronine deiodinase(D1)と同様に、通常終止コドンであるTGAコドンがselenocysteine(SeCys)に翻訳される事が予想される。D1の場合、3'-非翻訳領域に存在する、stem-loop構造をとる特異な塩基配列[SeCys incorporation sequence (SECIS)]の存在が、TGAからSeCyの翻訳に必要不可欠である。報告されたcDNA(rBat 1-1)は、SECISを欠いたdeleted cDNAと考えられている。我々は、ラットの全長cDNAを単離する事を目的として、カエルD2 cDNA翻訳領域をプローブとして用い、ラット脳cDNA libraryより、全長約5.1 kbのクローン(rBrain-D2)を単離した。我々の単離したrBrain-D2は、既報rBat 1-1と100%同一の翻訳領域を有していた。rBrain-D2は、rBat 1-1より約3.7kb長い3'-非翻訳領域を有していた(rBrain-D2の塩基配列は論文(1)に報告)。しかし、rBrain-D2クローンを細胞に導入しても酵素活性を発現せず、SECISを有しないdeleted cDNAと考えている。現在全長cDNAを単離すべく、libraryよりスクリーニング、3'-RACE等を試みている。最近更に、米国のグループにより、D2 mRNAが視床下部のグリア細胞に最も強く発現している事が報告された。これまで、cAMP刺激によりグア細胞のD2活性が増加する事が報告されているが、我々は新たに、cGMP刺激によってもグリア細胞D2活性が増加する事、cGMPをsecond messengerとするatrial natriuretic peptideやC-type natriuretic peptidecによってもD2活性が増加する事、cGMPによる効果がD2 mRNAレベルの増加を介するものである事を報告した(論文(1))。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Atsushi Gondou, Nagaoki Toyoda, et al.,: "Induction of type2 deiodinase adtivity by cyclic guanosine 3',5'-monophosphate in cultured rat glial cells" THYROID. (in press).