1998 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄球系細胞の分化におけるレチノイン酸(RA)の機能解析-ドミナントネガティブ型RA受容体トランスジェニックマウスの作成と解析
Project/Area Number |
09770811
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須永 真司 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (70282621)
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Keywords | レチノイン酸 / レチノイン酸受容体 / 骨髄球系細胞 / 細胞分化 / ドミナントネガティブ / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
ドミナントネガティプ型レチノイン酸受容体を、骨髄球系細胞特異的に発現するトランスジェニックマウスを作成した。このトランスジェニックマウス(MRP-RAR Tgマウス)の骨髄では、幼若な骨髄球系細胞が増加し、分化した好中球は減少していた。MRP-RAR Tgマウスにレチノイン酸を経口投与したが、骨髄における骨髄球系細胞の成熟障害は、改善されなかった。この原因として、レチノイン酸の投与量が不足している可能性が考えられたが、レチノイン酸投与後には、肺RARβ遺伝子の転写活性はup-regulateされており、レチノイン酸は、十分に投与されているものと考えられた。 次に、MRP-RAR Tgマウスの骨髄より単核球を分離し、ドミナントネガティブ型レチノイン酸受容体を発現する細胞株の樹立を試みた。サイトカイン無添加の状態では、細胞の自律性増殖はみられなかった。IL-3およびGM-CSF存在下で培養すると、初期には、好中球、マクロファージへの分化傾向を示しながら増殖し、2ヵ月程のあいだに増殖は停止し、細胞株を得ることはできなかった。IL-3、GM-CSF、G-CSF各々単独存在下でも、同様の分化を示し、細胞株を得られなかった。これらの培養系にレチノイン酸を加えて、分化状態をみたが、レチノイン酸の有無で分化、増殖の程度に有意な変化は認められなかった。 MRP-RAR Tgマウスには、骨髄球系細胞の成熟障害があり、これが過量のレチノイン酸投与により改善されることが期待されたが、現時点までに期待された結果は得られず、投与法などを工夫する必要があると考えられた。また、in vitroでの培養についても、サイトカインの濃度、組み合わせなどについて検討する必要があると思われた。
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Research Products
(1 results)